東京都内で開催中の東京国際映画祭で29日、23年の同映画祭でAmazon Prime Videoテイクワン賞を受賞した、楊礼平(ヤン・リーピン)監督の長編初監督作品「雲ゆくままに」が上映された。同監督は「外国の留学生の映画ですけど、間違いなく日本映画です」と力を込めて口にした。
Amazon Prime Videoテイクワン賞は、同映画祭がAmazonプライムビデオと共催し、新たな映画作家の発掘、育成に取り組む企画として23年まで3年続けたが、契約を終え終了した。楊監督は「Gone with the wind」で受賞し、賞金100万円に加え、今年末までに企画承認、グリーンライト、予算承認を取ることを前提に、Amazonスタジオと長編映画の製作を模索し、脚本開発に取り組む機会も提供された。
今回、Nippon Cinema Nowに出品された「雲ゆくままに」は、東京芸大大学院映像研究科映画専攻の卒業製作だ。彼氏と親友の浮気現場に遭遇した留学生の美麗、男との関係を知られ薬物に溺れる写真家の夢二、ビザ取得に苦しみ、工場で働く技能実習生の陸離、同じ工場で働くも母と仕事を失った老人、岩井と、4人の激動の数日間を描く。
出演の松■翔平は「中国語の台本が機械翻訳され日本語で上がってきた。僕はそれが面白かった。自然なしゃべり方って、あると思う。俳優は自分の生理とは違うしゃべり方をする仕事なので、直さない方が面白いのでは? と話した」と台本について説明。「英語、中国語、日本語が混在する現場で面白かった。学生監督のくせに…と言ってはいけないんですけど、すっと冷静でいいですね。僕の方が汗だくだく…頼もしかった」と撮影と、楊監督の様子を振り返った。
楊監督は「2つ、パターンがある。日本で書く、中国語で書き日本語で書く。今回は中国の人が出るので、文化が違うから」と、中国語の脚本を機械翻訳した理由を説明した。さらに、司会から、中国と日本で映画製作をするのに、どちらが難しいか? と質問が出ると「表現は中国より日本が緩い。でも留学生なので難しい。スタッフを集めるのは深刻」と説明した。
この日はマン・カナ、入江崇史、渡辺超、浪瀬聡太プロデューサーも登壇した。
■=やまかんむりの下に奇