藤井聡太竜王(名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)が佐々木勇気八段(30)の挑戦を受ける、将棋の第37期竜王戦7番勝負第4局が16日、大阪府茨木市「おにクル」で行われた。15日午前9時からの2日制で始まった対局は、先手佐々木が名前の通り、勇気をもって積極的に踏み込んで完勝。対戦成績を2勝2敗とした。第5局は27、28日、和歌山市「和歌山城ホール」で行われる。
佐々木が最短の攻めを選んだ。藤井が指した王手飛車に対し、飛車を見捨てて勝ちに行く。角換わり相早繰り銀から腰掛け銀への組み替えての攻め合いでグイグイと押す。「やってみたい構想だった。後手の動き見て、より積極的に」というプランで主導権を握ると、そのまま藤井を投了に追い込んだ。
「正念場の1局」。第4局の前、こう話した。勝てば追いつくが、負ければ1勝3敗で後がなくなる。大事な一番で「とっておき」の作戦を出し、会心の指し回しを披露した。
「自分の実力以上に内容のいい将棋が指せている。12月までシリーズを楽しむことができます」。終局後の大盤解説会場で、こんな話をした。
シリーズ前、佐々木は「何とか6局目(12月11、12日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」)までいけるようにしたい」と語った。一昨年の竜王戦第6局の大盤解説役で当地を訪れ、砂蒸し温泉を楽しんだ。今回は挑戦者として、指宿へ行くことがモチベーションにもなっている。「実力を高められるよう頑張りたいです」。第5局から連勝できれば、初タイトルも手にできる。