藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖=22)が佐々木勇気八段(30)の挑戦を受ける、将棋の第37期竜王戦7番勝負第4局が15、16の両日、大阪府茨木市の複合施設「おにクル」で行われ、先手の佐々木が藤井を下し、シリーズ対戦成績を2勝2敗のタイにした。佐々木はタイトル初挑戦で、タイトル奪取を目指す。
藤井が7番勝負のタイトル戦で2勝2敗のタイスコアに並ばれたのは2度目。終局時間の午後3時45分は2日制のタイトル戦では歴代2位の「最速敗戦」となった。第5局は27日、和歌山市「和歌山城ホール」で行われる。
終局後、藤井は「早い段階から苦しい展開になってしまった」と悔やんだ。第4局は、先手の佐々木が角換わりの戦型を選択。相早繰り銀と進み、佐々木が27手目に研究手をぶつけた。藤井は時間を使わされる展開になり、何度も長考に沈んだ。
2日目も佐々木の猛攻に逆転のきっかけをつかもとうしたが、厳しい局面が続いた。終盤は勝負手を重ねて、容易に土俵を割らない指し回しを見せ、起死回生の“鬼手”を模索したが、不発に終わった。
「ちょっと本局は一方的な内容になってしまったかなと思う」
7番勝負のタイトル戦で2勝2敗のタイスコアに並ばれた23年2月、羽生善治九段との王将戦7番勝負第4局で黒星を喫し、2勝2敗になって以来、約1年9カ月ぶり。これまでの「最速敗戦」の歴代1位は21年6月の王位戦7番勝負第1局の豊島戦での終局時間午後3時35分。今回は歴代2位の「最速敗戦」となった。
佐々木は当時デビューから負けなしの29連勝の新記録を達成した藤井の30連勝を止めた「藤井を止めた男」としても知られる。
藤井が勝っていれば、竜王4連覇に向けて一気に加速するところだったが、再びタイに追いつかれた。正念場の次局へ「第5局以降は熱戦が指せるように精いっぱい、準備をしていきたい」と気持ちを切り替えた。【松浦隆司】