知事失職に伴う兵庫県知事選は17日投開票の結果、無所属の前職斎藤元彦氏(47)が、元尼崎市長稲村和美氏(52)ら無所属6新人を破り再選を果たした。
神戸市内の選挙事務所。「斎藤コール」が響く中、斎藤氏が登場した。YouTubeで生配信する若者、事務所には300人以上の支援者が集まりライブ会場さながらの雰囲気になった。「民主主義の勝利や!」と叫び、報道陣に詰め寄る男性もいた。
パワハラなどの疑惑告発文書問題を巡り、兵庫県議会で全会一致の不信任決議を受け自動失職した斎藤氏は「選挙戦は1人からのスタートだった。ここまで多くのご支援が広がるとは思わなかった」と感謝した。一方で「県民のみなさんにご迷惑をかけて申し訳なかった」と自らのパワハラなど疑惑告発文書問題に触れた。
無党派層を取り込むため、交流サイト(SNS)を積極的に活用した。街頭での活動をX(旧ツイッター)に投稿。フォロワー数は知事を失職した直後の9月末(約7万人)から投開票日は約20万人に達した。
ネットで影響力を持つNHKから国民を守る党の立花孝志党首が「当選を目指さない」と宣言し、斎藤氏の疑惑を否定する立場で無所属で立候補した。選挙戦では、斎藤氏が街頭演説後、立花氏が同じ場所で街頭演説するのが“定番”となった。立花氏が亡くなった告発者を非難する発言も目立った。
異例の“二人三脚”にJR神戸駅で2人の演説を聴いた60代の女性は「斎藤さんは守秘義務があって言えないことがある。立花さんが“代弁”してくれている」とうなずいた。終盤、斎藤氏は「真実は何か判断してほしい」と熱弁。根拠のない偽情報や誤情報が飛び交った異様な知事選。終盤には「斎藤さんがかわいそう」という声も聞こえた。
斎藤氏は「SNSはあまり好きではなかったが、応援してくれる人はこれだけ広がる。SNSのプラスの面を知った」と話し、「オール兵庫で前に進めていきたい」。イッキに流れをつかみ、終盤に大逆転した。【松浦隆司】