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【悼む】火野正平さん恋の遍歴でも名優 必殺の口説き文句、口説きたかった35歳下タレントの名

日刊スポーツ 2024年11月20日 18時5分

<悼む>

俳優火野正平(ひの・しょうへい、本名二瓶康一=にへい・こういち)さんが14日、自宅で亡くなった。75歳。所属事務所が20日、発表した。ずでに家族葬を執り行ったという。

“希代のモテ男”火野正平さんが亡くなった。2016年(平28)2月に、そのモテっぷりと役者道をつづった著書「火野正平 若くなるには、時間がかかる」を出版した時にインタビューした。

火野さんと言えば、数々の女性スキャンダル。もう50年近くも前から「○○の火野正平」と言えば、女にだらしない男の代名詞。だが裏を返せば、それだけモテる証。女性からは熱い、男性からは嫉妬のまなざしを送られていた。

その女性遍歴を悪く言う人も多かったが“後輩男子”にとってはお手本にしたい憧れの人だった。干支(えと)で一回り、12歳年下の記者がインタビューの初めに「モテモテの秘訣(ひけつ)を聞きに来ました」と言うと、ニヤリとしながら「別れた後、悪いこと言わないように、相手に頼んでる(笑い)。まぁ、女が言わないんじゃなくて、俺が女の悪口言わないから。だからだよ。それに、恋のアンテナ感度がいいだけ。俺から行ってたら、ただのエロじじい。まあ、自分から行くときもあるんだけどね」と笑った。

そして必殺の口説き文句を「絶対、そうなるんだから、早くしたほうがいい」と教えてくれた。人生100年時代、当時66歳の火野さんに女性遍歴の“未来予想図”を聞いたら「穴があったら入れたいだったんだから。今は、もう良識を持って生きてます」と更生したと口にした。

それでも、口説きたいと思っている女性の名前をしつこく聞いたらmisono(40)の名前を口にして「会ったことないよ。でも、かわいいじゃないですか。基本、大阪弁、かわいいんだよ」と笑った。

70年代前半に、今でいう“バラドル”として大ブレークした同い年の女優と火野さんのスキャンダルが報じられた。その女性が名古屋でクラブのママをやっていた。インタビューの数カ月前にそれを報じる記事を夕刊紙で見たことを話すと「本当か。その店に行ったのか」と一瞬マジになった。そういえば、あのバラドルも、かわいいルックスに大阪弁だった。

71年に結婚、1男1女をもうけたが、73年に別れた。芸能史上に残る“女性遍歴”が続いたが、最初の妻とは籍が入ったままで、事実上の夫婦生活を送っていた女性とは35年間も籍を入れてないことを明かして「だからバツイチじゃないよ。(籍を)抜いてくれないんだもの。連絡もない、遠い人、宇宙の人…何十年も会ってない。娘には会ってるけど。怖いんだもの」と明かしてくれた。

女性遍歴のことばかり書いてしまったが、役者としても一流だった。22年に78歳で亡くなった古谷一行さん、木の実ナナ(78)とトリオを組んだテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」の「混浴露天風呂連続殺人」シリーズでは95年から07年まで出演した。ゲストのAV女優の入浴シーンが話題だったが、火野さんの無駄な肉のついていないバックショットも、お茶の間の奥さまの目を引きつけた。

そして、73年のNHK大河ドラマ「国盗り物語」の豊臣秀吉役。その後、いろいろな俳優が秀吉を演じたが、火野さんが一番。もう50年も、そう思って生きてきた。

きっとあの世に行っても、ひょうひょうとしてモテモテなんだろうなと思う。女性の問題で窮地に追い込まれている芸能人や政治家を見る度に、火野さんのかっこよさが際立つ。“昭和の男”は恋の遍歴でも名優だった。ご冥福を祈ります。【小谷野俊哉】

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