「ひふみん」こと、将棋の加藤一二三・九段(84)がギネス入りした。JAグループの雑誌「家の光」に19歳の時から出題・解答をし続けた詰め将棋が、今年10月で65年62日となった。これが「同一雑誌におけるボードゲームパズル作者としての最長キャリア」として、ギネス世界記録に認定された。その公式認定証授与式と会見が21日、都内で行われた。
「大変喜んでおります」と切り出したひふみん。将棋を覚えて間もない小4ぐらいで、詰め将棋の名作に出合った。9手詰めの作品を解いて以来、絶えず携わり続けてきた。今も移動の最中などに作っているという。
将棋界初の中学生棋士として、1954年(昭29)8月に14歳7カ月でプロデビュー。この記録は16年10月に藤井聡太7冠(22)に更新されるまで、最年少記録だった。1958年(昭33)に史上最速の18歳でA級に昇級し、日の出の勢いだった翌年から「家の光」で担当し始めた。
87年、中原誠名人(当時)に挑戦し、4勝3敗1持将棋の死闘の末に念願の名人となった。「名人獲得を決めた対局の終盤、負けたと思ったが詰み筋を発見して、宿敵中原名人を倒すことができました。ふだんから詰め将棋で終盤力を磨いてきたことが、実戦でも生かせました」と述懐する。
ひふみんは「7手詰めは目の覚めるようないい手を2手、9手詰めはアッと驚くような手を3手入れる。局面を限定して作る」と、作成のコツを披露した。実際に飛車や角を派手に捨てたり、桂や歩を使った軽妙手をちりばめている。ここまで続いたことに、「好きだったから」と即答した。また、「この記録は破られない。これからも挑戦していきたい」と、マシンガントークは健在だった。