元NHK解説主幹でジャーナリストの岩田明子氏は23日、日本テレビ系「ウェークアップ」(土曜午前8時)に出演し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)と20カ国地域(G20)首脳会議に出席するためペルーとブラジルを訪問した石破茂首相の現地での外交成果に「30点くらいかなあ」と、超辛口評価を下した。
2つの会議は石破氏にとって、初の本格的な外交舞台だったが、中国の習近平国家主席から右手で握手を求められ、両手で応じてしまうなど外交マナーが徹底されていなかったり、会議前に多くの首脳らが集まって会話を交わす場面もあった中、席に座ってひとりでスマートフォンをいじるなどの姿が確認された。
また、席にあいさつに来た各国首脳と座ったまま握手をした態度も、日本国内で批判を浴びるなど、本筋以外の部分の評価は散々。APECでの首脳写真撮影では、フジモリ元大統領の墓参に出向いた後、交通渋滞に巻き込まれてしまい間に合わず、石破首相不在のまま行われる不運も重なった。
数多くの国際会議での首脳外交を取材している岩田氏は、今回の石破外交の評価を問われ「辛口で申し訳ないんですけれど、30点くらいかな」と口にした。プラスの要素としては日韓、日中の両首脳会談の内容を挙げ、マイナス部分の70点については「G20は、このところ覇権主義国家の存在感が大きくなっていて、自由主義国家の基本的価値の共有が少し薄れてきている中、首脳宣言で日本がちょっと存在感を発揮することができなかった」と指摘。「あとは、座ったままの握手にみられるように、石破さんはニューフェースですから、自分から率先していろんな人に売り出すチャンスだった。これだけの首脳が一堂に会する機会はなかなかない。有効活用してほしかった」と続けた。
かつて安倍晋三元首相は、控室での立ち話を機に習主席との会談につなげたことがあったとのエピソードを披露。「首脳会議の場は、どことどこがつながっているかをウオッチする最高の場。そこでスマホをいじっていて周りを見ていないところも、情報獲得の部分ではもったいなかったなあと思った」。その上で「政務秘書官や外務秘書官などがちょっと耳打ちしてあげると違っていた。チーム力を強化して次の機会に臨んでほしい」とも、口にした。