日本ファクトチェックセンター編集長でジャーナリストの古田大輔氏は24日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜午前8時)に出演し、斎藤元彦知事(47)の勝利にSNSが後押しの1つとなったと指摘される兵庫県知事選の結果について自身の分析をまじえてコメントした。
パワハラ疑惑などの告発文書問題をめぐり、県議会の不信任決議で失職した斎藤氏は当初劣勢とみられたが、SNSを駆使した選挙戦略を展開し逆転勝利した。斎藤氏自身、「SNSは1つの大きなポイントだった」と振り返っている。
番組では、知事選の様子をVTRで振り返り、司会を務める元NHKのフリーアナウンサー膳場貴子が「これまでになかった選挙戦が展開され、メディアとしても大きな転換点だったと感じました」と指摘した。 コメントを求められた古田氏は「この問題はいろいろな論点がある。パワハラはあったのか、公益通報者保護法違反ではないか、とか、百条委の調査は適正なのか、公職選挙法に違反があったんじゃないかとか、そして選挙でのソーシャルメディアの拡散と、その時に偽情報や誤情報がたくさんあったのではないかと」とした上で「ソーシャルメディアに限って見ると、私が選挙後の報道や見立てで問題があるなと思うのは『マスメディアではなく、偽情報が大量に拡散したソーシャルメディアを信じた熱狂的な斎藤支持者』みたいなもの。そういう言い方をすると、斎藤さんに投票した人はみんな腹が立つ。一方で、投票しなかった人は『そういうことで受かったのか』と思う。事実関係的にもおかしいし、社会を分断する見立てだと思う」と指摘した。
その上で「『私たちが支えないといけない改革派の斎藤知事VS斎藤氏をおとしめたマスメディアを含む既得権益層』みたいな対決構図が生まれた。その背景には確かに偽情報や誤情報はありましたが、Xでシェアされたものを上から順番に並べると、ほとんどは単純に『斎藤氏、頑張れ』という声。偽情報や誤情報以上にそっちの方が拡散していた」「なぜそれが力を持つようになるかというと、そもそも斎藤氏への支持がそこそこ、元々あった。それと、もともとあるマスメディア不信。そこを理解しないといけない」と私見を述べた。
さらに、選挙中は公平性の観点から主要メディアの選挙報道が激減することに触れ「選挙が始まるまでは、マスメディアのユーチューブが見られているが、選挙が始まると報道を縮小させるから、あっという間にインフルエンサーや独立系アカウントが見られるようになる。むしろソーシャルメディアは、マスメディアの情報の空白を埋める存在になっているところを、理解しないといけない」と述べた。
「マスメディアは、ソーシャルメディアのいいところ、悪いところを理解しながら行動すべきではないか」とも指摘した。