演歌歌手丘みどり(40)が28日、都内で、初主演舞台「おちか奮闘記」取材会に出席した。
同作は松竹創業百三十周年記念作となり、小説家川口松太郎氏の「浪花女」を原作に瀬芳一氏の補綴(ほてい)演出で音楽的要素を追加し、新たに立ち上げるもの。明治初期の大阪を舞台に、義太夫節三味線の名手、二代目豊澤団平の芸にほれたおちかが、周囲の反対を押し切って団平の妻となり、人形浄瑠璃「壺坂霊験記」を完成させるまでを描く。
オファーを受けた当初は「私でいいのか悩んだ」というが「いつか演技はしたいと思っていた」という。来年はデビュー20周年。同作が舞台初主演となるが「演歌歌手として1人前になるまではと口に出せなかった夢がかないました」といい「20周年の節目を1月2日からいいスタートが切れます」と意気込んだ。
これまでも舞台のオファーはあったが「演歌歌手としてまだまだという思いもあったし、歌手としてのスケジュールが合わなかったこともあります」とした。今回の決心は「20周年だからこそ、あえてチャレンジしようと思っています」と明かした。
演じるおちかを「これがいいと思ったら真っすぐ突き進む女性」とし、「私もそんな面があるので重なる部分もあるかなと思っています」とし、自らを重ねての挑戦となりそうだ。
稽古は12月からスタート。今はセリフを覚えている最中だが、大阪弁に苦労していることを明かした。「大阪弁とはいえ明治なので、イントネーションも違います」とし、「ようやく標準語になれてきたところでの大阪弁なので、今後のMCが大丈夫かな…」とほほ笑んだ。
「おちかの成長がテーマですが、裏テーマは『みどり奮闘記』です」とし、「初めてだらけなので、それも見て欲しい」とアピール。「演歌歌手の舞台ではなく、1人の舞台女優の誕生として見ていただけるように頑張ります」とし、「見た方の時間を後悔させないように頑張るので、たくさんの方に見て欲しいです」と訴えた。
演出担当の成瀬氏によれば、劇中には丘の歌唱シーンもある。「丘さんの歌も使いたい。場面に合った曲を使いたいと思うけど稽古で決めるので、何を使うかは楽しみにしていてください」。史上初の“演歌ミュージカル”となりそうだ。
同公演は来年1月2~26日まで、東京・三越劇場で開催する。丘は「ぜひ大阪でもやりたい」とし、会場はコンサートを行う新歌舞伎座を挙げた。関係者から「ぜひ、大阪松竹で…」と勧められると「なんか変な空気だなと…」と天然ぶりもみせた。