今年10月まで日本維新の会の衆院議員を務めた足立康史氏(59)は取材に応じ、吉村洋文大阪府知事(49)が新代表に選ばれた1日の党代表選で、投票の有資格者の数に比べて総投票者の数が半数以下と大幅に少なかったことを指摘し「大変、問題ではないかと思う」と語った。
今回の代表選で投票資格を持っていたのは、現職議員と首長の「特別党員」846人と、党費を2年以上支払っている「一般党員」2万5025人の計2万5871人。1人1票は議員も一般党員も変わらない形で行われたが、投票総数は1万809票(有効投票1万740票)で、有資格者の半数以下だった。結果は吉村氏が1万809票のうち約8割の8547票を獲得して新代表に選ばれた。次点は松沢弘文参院議員で1066票だった。
足立氏は、8527票を獲得した馬場伸幸氏が代表に選出された2022年8月の代表選に出馬し、1158票を取っている。1日夜、東京都内で取材に応じた足立氏は「投票率の低さが今回の代表選の最大の課題なのではないか。そもそも日本維新の会の支持率は低迷しているが、政党の基盤は党員の方々です。党内のこういう最も大事な場面で、党員の方々が半分くらいしか投票しないような代表選になったことは、大変問題ではないかと思います」と指摘した。
背景として「大阪は吉村さんも知事だし(基盤がある)。ただ、大阪以外の党員のみなさまが、愛想を尽かしているような気がする」とした上で、「2022年代表選で、ようやく、これから全国政党になるための扉を開いたのに、なぜまたここで大阪に戻るのか。大阪に戻るような形で大阪の知事が代表をやるような政党なら、国政からは撤退し、純粋な地域政党として地方政治に専念したらいいのではないか」とも語った。
吉村氏は1日の会見で、今後は関西を戦略的エリアとした上で「全国に候補者を立てまくるつもりはない」と、馬場氏が進めた「全国政党」を目指す路線からの修正を示唆している。
足立氏は、吉村代表体制では「国会議員団もまとまらないと思う」と述べ「大変厳しい政党運営になるし、吉村さんが何をしたいかも、ぼくには分からない。今の維新には人材も実現したい政策ビジョンも全部が足りない」とも指摘した。
足立氏は旧通産省を経て2012年衆院選で初当選。大阪9区で当選4回を重ねたが、今年4月の衆院東京15区補選をめぐる発言で半年間の党員資格停止処分を受けた。10月の衆院選を前に党が自身の選挙区に別の公認候補を擁立したことを受け、今回の衆院選には出馬しなかった。
代表選には吉村、松沢両氏と、金村龍那衆院議員、空本誠喜衆院議員の計4人が立候補した。