元検事の郷原信郎弁護士と神戸学院大の上脇博之教授が2日、兵庫県の斎藤元彦知事が再選された知事選でPR会社経営者に違法に報酬を支払ったなどとして、斎藤氏と経営者に対する公選法違反(買収、被買収)容疑の告発状を1日付で兵庫県警と神戸地検に郵便で発送したと明らかにした。郷原、上脇両氏は2日、オンラインで会見した。
告発状によると、PR会社「merchu(メルチュ)」が斎藤氏から戦略的広報業務を受託し、ネットによる選挙運動を含む広報全般の企画・立案を実行。斎藤氏が71万5000円を選挙運動への報酬として支払い、選挙運動員に金銭を供与した、としている。
告発状を神戸地検、兵庫県警の両方に提出したことについて、郷原弁護士は「県の組織のトップである県知事(斎藤氏)を捜査の対象にするのは、警察としては非常にやりにくい事件になることは否定できない」と指摘し、「神戸地検がぜひ積極的にかかわってもらいたいということを上脇先生と話し合って、両者を並べるかたちで告発状を提出した」と説明した。
告発状では「真相解明には、関係各所の捜索等の強制捜査を含め、相当大規模な捜査体制が必要となるものと考えられる」と明記した。
斎藤氏は11月25日の記者会見で、PR会社に支払った71万5000円は公選法で認められたポスターの制作費などだったと説明。代理人弁護士も会見し、「交流サイト(SNS)戦略や広報全般を任せた事実はない」と述べ、公選法が禁じる運動員買収を否定した。 PR会社の女性経営者はこれまでのところコメントなどは出していない。