兵庫県の斎藤元彦知事が再選された知事選でPR会社の女性経営者に報酬を支払ったのは公選法違反(買収、被買収)の疑いがあるとして、神戸学院大の上脇博之教授と、元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士が2日、斎藤氏と経営者に対する告発状を1日付で兵庫県警と神戸地検に郵便で発送したと明らかにした。両氏は2日、オンラインで会見した。
告発状によると、兵庫県西宮市のPR会社「merchu(メルチュ)」が斎藤氏から戦略的広報業務を受託し、ネットによる選挙運動を含む広報全般の企画・立案を実行。斎藤氏が71万5000円を選挙運動への報酬として支払い、選挙運動員に金銭を供与した、としている。
斎藤氏は2日、記者団に「詳細を承知していない。公選法に違反することはないと認識している」と述べた。代理人弁護士は会見で「交流サイト(SNS)戦略や広報全般を任せた事実はない」と公選法が禁じる運動員買収を否定しているが、郷原弁護士は「説明自体が針の穴に糸を通すような難しい弁解である」。東京地検特捜部による裏金事件捜査へのきっかけとなる刑事告発をした上脇氏は「間違いなく選挙運動への報酬支払いで買収、被買収は成立する」と話した。女性経営者は2日までにコメントなどは出していない。【松浦隆司】