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【韓国】非常戒厳令わずか6時間で解除 尹錫悦大統領の突然の宣布で大混乱の一夜

日刊スポーツ 2024年12月4日 8時3分

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が4日未明、前日に宣布した非常戒厳令を解除した。

大統領は、3日午前10時20分過ぎに公開した動画で非常戒厳令を宣言したが、最大野党である共に民主党だけでなく、与党の国民の力も反発。国会本会議で4日午前1時ごろ、解除を求める非常戒厳解除要求決議案が可決されていた。これを受け、大統領は4日午前4時20分頃、国民に発表した談話を通じ非常戒厳令の解除を宣告。わずか6時間ほどでの幕引きとなった。

大統領は談話で「尊敬する国民の皆さん、私は昨夜、国家の機能を麻痺(まひ)させ、自由民主主義や憲政秩序を崩壊させようとする反国家勢力に対抗し、決然とした救国の意志で、非常戒厳を宣布した」とした上で「しかし先ほど国会の戒厳解除要求があり、投入された戒厳軍を撤収させた」と発表した。

さらに「すぐに国会の要求を受け入れ戒厳を解除する」としながらも「ただし、直ちに国務会議を招集したが、明け方であるため、議決に必要な人数が満たされておらず、集まり次第、すぐ戒厳を解除する」と明かしていた。その上で「だが度重なる弾劾と、立法や司法や予算の利益を独占して、国家の機能をまひさせる非道な行為は、直ちに中止することを国会に要請する」と付け加えた。大統領の談話後、首相室は「午前4時30分に国務会議で戒厳解除案が議決されたことをお知らせする」と公示した。

これに先立って国会では4日午前1時ごろ、本会議を開き、非常戒厳解除要求決議案を出席議員190人全員の賛成で可決された。憲法第77条第5項には「国会が在籍議員過半数の賛成で戒厳の解除を要求した時には大統領はこれを解除しなければならない」と明示されている。

大統領は3日夜、野党が国会の機能を麻痺させていると指摘した上で、「私は北朝鮮共産勢力の脅威から自由大韓民国を守護し、韓国国民の自由、幸福を略奪する、破廉恥な従北の反国家勢力を一挙に排除し、自由憲政秩序を守るため」として非常戒厳令を宣布。4日未明にかけ、国会には機関銃を装備した戒厳軍が派遣され、国会突入を拒む市民らに妨害するなどして一触触発の状態になった。韓国国内、海外メディアも大々的に報道するなど、大混乱の一夜となった。

大統領をめぐっては、北朝鮮兵のロシア派遣など重要な課題が発生した時期にゴルフに興じたことや、夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏(52)に株価操作、賄賂授受、高速道路の建設路線変更など複数の疑惑が浮上。有名大学の教授陣から退任を要求されるなど、支持率低下が伝えられていた。今回の非常戒厳令宣布による混乱と、即日解除という結果で、いっそう窮地に追い込まれたとの公算が高まっている。

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