囲碁の第49期名人戦を制した一力遼名人(棋聖・天元・本因坊=27)の就位式が10日、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われた。今期の7番勝負は、3年連続4期目の獲得を目指した芝野虎丸名人(25)を4勝2敗で下し、初めて獲得した。
一昨年、名人戦に初めて登場した時には井山裕太名人(当時)に3勝2敗と追い詰めながら、そこから連敗。チャンスを逃した。
今回は開幕2連勝で流れをつかんだ。並行して行われた国際棋戦の第10回応氏杯世界選手権で優勝。日本勢として19年ぶりの世界一となった。「タイトな日程の中で、名人も応氏杯も両方取りたいと思ったのが、結果につながった」と謝辞で語った。
故郷仙台市で10歳の時に開催された名人戦を間近で観戦して、囲碁棋士を志した。名人はあこがれのタイトルでもある。小5の時に文集で「名人になる」と夢を書いた。「今があるのは名人戦のおかげといっても過言ではありません」。
くしくも井山王座の挑戦を受ける棋聖戦7番勝負の開幕局(来年1月16、17日)は同じ椿山荘で打たれる。「これからも頑張りたい。名人らしく頑張りたいと思います」と抱負を語り、大きな拍手を浴びていた。