国民民主党の玉木雄一郎代表(3カ月の役職停止中)は、13日夜に放送されたBSフジ「プライムニュース」(月~金曜午後8時)に出演し、「年収103万円の壁」引き上げをめぐる自民、公明、国民民主3党の幹事長の合意内容に対し、同日の3党税調幹部の協議で与党側から「123万円」という「塩数字」が提示されたことについて「意義がある」と訴えた。
3党の幹事長は11日、国民民主党が主張する「103万円の壁」を、同党の主張に沿って「178万円を目指して来年から引き上げる」ことで合意。一方、13日の3党の税調幹部協議では、自民、公明両党が、国民民主の求める178万円への引き上げではなく、123万円を提示。わずか20万円引き上げただけの「塩数字」に、国民民主の古川元久税調会長は「話にならない」「(ゴルフの)グリーンも全然見えないような距離しか飛んでない」と、苦言を呈した。
玉木氏は、まず3党の幹事長間の合意について「現実政治や財源の問題もある。合意するなら一定の幅は必要、ということは理解している」とした上で「大切なのは、178万円を目指すのが5年後、10年後ではなく、来年できることを目指して、誠実にできることをしよういうことで合意したこと」と主張。「(与党側が)『段階的に178(万円)』という数字を考えていたことはよく分かったが、これは半分政治で、政策論と同時に政局論。政調会長や税調会長を超えた幹事長レベルの判断はこれからもあると思うが、(178万円は)選挙で掲げた数字なので重い」と譲らない考えを示した。
一方で「今日、123万円という数字が出てきたことには意義があると思っている」と主張。「単純計算すると、2・2兆円分くらいの財源は、国債発行をしなくても出せるということの宣言でもある。だいたい、少なくとも2兆円強は出るということを宣言したわけですから、そこをどう考えていくか。所得制限を入れていくのか、地方税をどうするのかということもありますが、2兆円強(の財源)はワンショットではなく、恒常的に出せるということを政府が宣言したようなもの。今まではこれがゼロだった」「(与党側は)恒久財源は出ないし、補正予算で1回ならできるが、と言っていたが、少なくとも『123』と言ったことは、2兆円強の恒久財源は出せるということ。そこを踏まえて今後の交渉をしっかりやっていきたい」と述べた。
ともに出演した政治ジャーナリスト田崎史郎氏は「(3党幹事長合意は)あくまで178万円を目指して、ということで178万円にするとは書いていない。そうなると来年度の税制改正では、そんなに高い数字は期待できないのではないか」とした上で「税調会長間のレベルでは収まらず(引き上げ額の決定は)幹事長レベルにはなっていくと思うが、123万円と大きくかけ離れたものが出てくるとは思わない」と述べた。一方で「自民党の税調が決めても、他党の協力がないと実現できない。それが少数与党。今後、幹事長の政治的な判断で、もうちょっと上がっていくのではないか」とも述べた。