2019年の参院選広島選挙区買収事件をめぐり公選法違反の罪に問われ、実刑判決を受けた元法相の河井克行氏(61)は、15日に放送されたABEMA「ABEMA的ニュースショー」(日曜正午)に、生出演した。この時の参院選広島選挙区には妻の河井案里氏が出馬したが、候補者擁立をめぐり案里氏を擁立した自民党本部と、当時現職だったベテランの必勝にこだわった自民党広島県連との「溝」に触れながら、県連による案里氏への「いろんないじめ」があったと、持論を主張した。
河井氏は当時の自民党総裁だった安倍晋三首相の方針に触れ「可能性があるところには積極的に挑戦をしていこうという選挙情勢だった」と指摘しながら、2人区で長年、自民と民主党系で議席を占めてきた広島選挙区の情勢に触れ、そこに案里氏が出馬した構図に言及。「安倍晋三回顧録」に「3人区の千葉では2人を擁立し2人とも当選しました。北海道も3人区ですが自民党が2人当選しました。安倍政権になってからこういう厳しい戦いを地元にお願いして勝利してきた」というくだりがあると触れながら、千葉や北海道の自民党の地元組織は「新人の方により厚く支援をした」とした上で「広島県連については、河井案里氏を支援しないという機関決定をした。いろいろないじめがあった」と主張した。「例えば、自民党本部の公式ホームページには公認候補として掲載されたが、広島県連のホームページでは最後まで河井案里氏は掲載されなかった」「毎年春ごろ広島県連の大会が開催され、毎年続いてきたが、あの年だけ無期延期になった。壇上で河井案里氏を溝手(顕正)先生の横に並べさせたくない、と」などとも語った
広島は、岸田文雄前首相ら旧宏池会の議員が多いことを念頭に「明らかに宏池会が主導する広島県連にとって、河井案里氏は異分子で敵。絶対に落とさなきゃいけない。むしろ野党の民主党を当選させていきたいと」と、当時の広島県連側の意図を推測するような場面も。「競争のないところには進歩はない。河井案里氏は新人だから手厚くしてほしいとは言わないが、ほかの県連のように対等に、(支援を)やりたい議員はやっていいという自由な競争を決めてくれていたら」とも口にした。案里氏はこの時の参院選で初当選(その後辞職)し、溝手氏は落選した。
河井氏は懲役3年、追徴金130万円の実刑判決が確定。今年10月20日、刑期を満了している。