国民民主党が求める「年収103万円の壁」引き上げをめぐり、与党と国民民主党の幹部が17日、国会内で会談したが、国民民主が打ち切りを通告、物別れに終わった。前回提示の「123万円」から進展がなく、178万円を主張する国民は開始10分で「激怒退席」。123万円は「誠意」の数字と発言し、炎上した自民党の宮沢洋一税調会長(74)はこの日も「誠心誠意対応した」と述べ、協議継続を求めた。国民民主の前に、宮沢氏という「壁」が立ちはだかった。
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所得税の非課税枠である「103万円の壁」引き上げをめぐり、6回目となった与党と国民民主の税制調査会(税調)幹部らの協議。10分で部屋を出てきた国民民主の古川元久税調会長は、「打ち切りです」「終わりです」と怒りを口にし、立ち去った。
その後、取材に応じた自民党の宮沢税調会長は、古川氏が前回13日の会合後、協議の進捗(しんちょく)をゴルフに例え「グリーンも全然見えないような距離しか飛んでいない」と述べたことを念頭に「協議なので、妥協するところは妥協する。実質的な協議が始まるようなグリーンはどこにあるのか教えてくださいと申し上げた」と述べたところ、古川氏らは「新たな提案がないなら、これ以上協議はできません」と席を立ったと経緯を明かした。
12月11日に、「年収103万円の壁」を、178万円を目指して来年から引き上げることで自民、公明、国民民主3党の幹事長が合意ずみ。宮沢氏はこれに「釈然としない」と述べ、13日に国民民主に提示して一蹴された「123万円」については「誠意を見せたつもりだ」と述べ、SNSで炎上する事態にもなった。
宮沢氏は、国民民主の一方的に打ち切り通告を受けても「私としては誠心誠意、対応してきたつもりだ」と強調。「協議なので、考えていることを全部お伝えしているわけではない。これで協議なしということにならないとも限らないが、なんとか協議を続けたいというのが自民、公明の思い」とも話した。与党は20日までに2025年度税制改正大綱を取りまとめる考えで調整を続ける。
国民民主にとって、与党との協議を本当に打ち切れば、肝いり政策の早期実現が見通せなくなる可能性もあるが、世論の党への支持もあり、強気の態度は崩さない方針だ。かつては時の首相も口を出せない「聖域」といわれた自民税調を仕切る宮沢氏という「壁」。国民民主はどう立ち向かうのか。【中山知子】