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往年の正月興行を思い出す 東京からスケールアップした「グランメゾン・パリ」

日刊スポーツ 2024年12月23日 7時0分

「寅さん」や「ゴジラ」で華やいだ往年の正月興行を思い出させる作品だ。

5年前のドラマシリーズで、日本でミシュラン三つ星を獲得した「グランメゾン」のメンバーが、今度はパリでの三つ星を目指す。映画化「グランメゾン・パリ」(30日公開)のスケールアップはわかりやすい。

実際にアジア人初のフランス三つ星を獲得した小林圭シェフが料理監修を務めているから、登場する料理にも、パリの業界事情にも説得力がある。

天才肌の尾花夏樹(木村拓哉)と味覚だけは誰にも負けない早見倫子(鈴木京香)のシェフコンビは、東京の店を後輩の平古祥平(玉森裕太)に任せ、パリでの三つ星を目指している。

おなじみグランメゾンのメンバーにリック(2PMオク・テギョン)小暮(Aぇ!group正門良規)らが加わり、序盤からスタッフの質が総じて高いことを印象づける。

が、保守的なマーケットシステムに阻まれて仕入れに苦戦する尾花は、自分のイメージに沿わないささいな違いにも腹を立て、しだいにスタッフから孤立していく。かつてのパリの師匠からも「ノン」を突きつけられ、三つ星は遠のくばかりだったが…。

ドラマ「MIU404」「アンナチュラル」、映画「ラストマイル」と絶好調の塚原あゆ子氏がドラマ版に続いてメガホンを取り、裏町のすさんだ犯罪や多様性といった現代風の匂いをまぶしながら尾花の人間としての成長を描いている。

王道展開の結末は読めるが、絡むエピソードの細部に味わいがあって飽きさせない。

木村の繊細な手の動きや醸す雰囲気は、小林シェフもさもありなんと思わせる。写し取る力というか、この人の器用さを改めて実感させられる。鈴木京香、沢村一樹、及川光博の、あうんの受けにドラマの記憶がよみがえる。

凝った料理はもちろん、パリロケが効いていて正月映画らしいぜいたくな質感が随所にちりばめられている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

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