テレビ朝日系「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)の大越健介キャスター(63)は19日、同番組内で、この日、98歳で亡くなった読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄さんについて語った。
番組冒頭、渡辺さんについて「戦後日本政治の最後の生き証人でした」とし「私は晩年ロングインタビューをする機会に恵まれたのですが、圧倒的なオーラとともにどこかちゃめっ気を感じさせる人でした」と語った。
番組では渡辺氏の生涯をまとめたが、その中では大越キャスターがNHK時代に行ったインタビュー映像も流された。
「2019年から21年にかけて、計8回10時間にわたるロングインタビューを行いました。これがNHK記者として最後の仕事となった。そのインタビューにあたって参考にしたのがこの本です」と、付箋がたっぷり貼られた「渡辺恒雄回顧録」を紹介。その後は著者の東京大学名誉教授の御厨貴氏をゲストに振り返った。
同じく政治記者をしていが、渡辺氏を「いざという時に、いずれ全部書いてやるという気迫を持っていた。相反する、矛盾したところが1人の人格の中に同居している方」だったとした。また、巨人のオーナーとしては「失敗したなという思いを抱いていると思う。1リーグ制の構想に突っ走って頓挫した」と話した。
「豪放磊落(らいらく)というか、その中でちゃめっ気もあって、記者の領分だけでなくフィクサーの面も持ち合わせた、いろんな要素がつまった人」と称し「ある種昭和を象徴する人だったのでしょうか」と問いかけた。
最後は「渡辺さんが築いた中庸で、現実的な、自由主義的な思想を紙面に反映してきた、長い時間をかけた記者人生は敬意に値するでしょうか?」と御厨氏に問いかけた。御厨氏は「値します。こういう方は2度と出ないでしょう」と答えて、コーナーは締められた。
番組最後の「ニュースのあとがき」では、「いくつもの矛盾した点が、渡辺さんという1つの人格の中に無理なく収まっている」とし「事実を追及する新聞記者でありながら、その事実を作り出す当事者にもなってしまう。そして超がつくほどの知識人でありながら、政治は情だと言い切る浪花節の人でもありました」と続け「彼の人間性に圧倒され、そして情にほだされたという人も多いのではないでしょうか。謹んでお悔やみを申し上げます」と話した。