自民党が少数与党に陥るきっかけとなった衆院選をへて、今の政界で大きな存在感をみせるのが国民民主党だ。「年収103万円の壁」引き上げで「手取りを増やす」と訴え、国民の支持を集めた。党を率いる玉木雄一郎代表(55)は不倫報道で役職停止中だが、党への期待値は衰えない。日刊スポーツは今年の主役を支えた「軍師」に注目。玉木氏を陰に日向に支える榛葉賀津也幹事長(57)にインタビューし、激動の1年を振り返ってもらうとともに、さまざまな思いについて聞いた。【中山知子】
◇ ◇ ◇
-理想とする政治家や人物はいますか
榛葉氏 二階堂進先生です。田中角栄元首相をずっと支えた方。「趣味は玉木雄一郎」というのは、若い方は知らないかも知れませんが、実は二階堂進先生が「趣味は田中角栄」とおっしゃったのを意識してのものです。「趣味は田中角栄」と演説した、二階堂進先生が本当にカッコよかったです。以来私は、二階堂進先生のファンでした。
二階堂先生は新日本プロレスのコミッショナーをやっていましたが、国会議員になればプロレスラーと仲良くなれるんだ、と思ったものでした。アントニオ猪木に襲いかかり、坂口征二をボコボコにするタイガー・ジェット・シンが、二階堂進先生の前ではメチャクチャ紳士なんですよ。「すげえ!二階堂進」と。二階堂先生に関する本もたくさん読みましたし、アメリカに留学された経歴も、私が後に留学するきっかけにもなりました。心底、二階堂進先生に憧れていましたね。
ただオチがありまして、最後に二階堂進先生は田中角栄にはむかって、自分が総理になろうとしたんです…玉木がこの話をどう思っているんでしょう(笑い)
-今のところ、はむかうつもりは?
榛葉氏 あるわけないじゃないですか! ただ、玉木さんは「タマキング」と言われていますが、この3カ月は、「タマ一兵卒」ですから。(笑い)
-国民民主党に足りないところはありますか
榛葉氏 泥臭さですね。清濁併せのむという泥臭さ。自民党やいろんな組織、役所と伍(ご)していったりするには、やっぱり泥臭さと懐の深さ。こういったものを、我々は持っていかないといけない。ただ、みんな若いので、これからしっかりと経験を積んでやっていきたいと思います。50年に1度、あるかないかのダイナミックな今の政治を、みんなで乗り越えていきたいと思います。
-新人議員の教育は進んでいますか
榛葉氏 やっていますけれど追いつきません。フル稼働でやっています。国民民主党の衆院議員は28人にはなりましたが1期生がほとんどです。1期生の議員たちに1日も早く(本格的な)戦力になってもらうためにもしっかりと勉強してほしいと思います。でも、わが党の新人議員は他党の1期生が経験できない経験をさせてもらっているのも事実です。新人議員がいきなりテレビ入りの予算委員会で質問したり、常任委員会の理事をやらせてもらったり。通常ならあり得ませんから、チャンスを大事にしてほしい。過去にも「〇〇チルドレン」っていましたが、必ずトラブっていましたよね。今回の新人議員は他所から見れば「玉木チルドレン」ということかもしれません。だからこそ、緊張感をもってしっかりと教育をしていきたいと思います
-2025年は参院選や東京都議選があり、「石丸新党」も動き始めるといわれます。さらに新しい政治の流れが出てきそうです
榛葉氏 出てくるでしょうね。楽しそうですよね。新しい政治の流れがどんどん出てくるのはワクワクします。ヒリヒリもしますが。だからこそ、国民民主党をさらにブラッシュアップして、参院選や東京都議選だけでなく、全国の地方選挙でも、しっかりと党勢を拡大していきたいと思います。
-来年に向けて国民のみなさんにメッセージをお願いします
榛葉氏 政治に期待を持ってください。この国の政治をあきらめないでほしいです。国民のための政治ですので。みんなの1票で政治も暮らしも変わります。ぜひ、みなさんといっしょに政治を前に進めていきたいと思っています。今日は、ありがとうございました。(おわり)
◆榛葉賀津也(しんば・かづや)1967年(昭42)4月25日、静岡県生まれ。米オタバイン大政治学部卒。菊川町議を経て、01年参院選で初当選。民主党政権で防衛副大臣、外務副大臣を歴任。20年9月から現職。地元の自宅で飼うヤギの世話をする様子の動画が話題に。参院静岡県選挙区。当選4回。