自民党の小野寺五典政調会長が、22日のNHK討論番組「日曜討論」で、国民民主党の主張する所得税の非課税枠を「178万円」に引き上げる案について意見を述べる中で「(国民の)手取りが増えてしまう」と発言した。23日までにSNS上で拡散され、批判的なコメントが集まっている。
番組では与野党が所得税の生じる「103万円の壁」を巡り討論した。国民民主党の「178万円」案に対し、自民党が「123万円」を提示していることから、司会に「どう一致点を見いだしていきますか」と聞かれた小野寺氏が説明した。
その中で、非課税枠「178万円」の場合、400~500万円の所得層は、手取りの増加が3、4万円程度になるとの試算を示した一方で、所得が2000万円以上の層では「30万円以上、実は手取りが増えてしまう」と言及した。
国民の手取りが「増えてしまう」と、否定的なニュアンスで伝えたことで、SNSには批判コメントが殺到した。一方で「2000万円以上の方が」の部分が、切り抜きで割愛された投稿も拡散されている。
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▼小野寺氏の当該部分の発言全文
今、国民民主党さんがおっしゃった就労抑制になっているものに関しては、今回、特定扶養控除を150万円まで上げる、ということを決めておりますので、そういう意味では、学生さんをはじめ、主婦の皆さんにも、しっかり働けていただけることが大事ですし、今後、106万、130万の壁、いわゆる社会保障の問題もありますから、これもしっかり議論していくことが大事だと思います。
もう一つ、これはおそらく、国民民主党さんとこれから詰めなきゃいけないと思いますが、例えば国民民主党さんが言うような178万円まで上げてしまうと、例えば…一番多い、所得をもらっている方の中で、例えば(所得が)400万~500万円ぐらいの方ですと、3万、4万ぐらいの、おそらく手取りの増えになりますが、逆に(所得が)2000万円以上の方が、30万円以上、実は手取りが増えてしまう。本来、私どもがどこに手当をするかというと、今、大変なところの層に、手取りを増やしてあげたい。そして、この層の方であれば、おそらく入ったお金はすぐに使って、それがおそらく乗数効果ということで、景気対策につながると思うんですが、数千万円の所得がある方が、おそらく30万円ぐらい増えても(ここで司会の「発言をまとめてください」という注意が入る)それを使うということがあまりないと思うので、そこはどういう制度設計にするかが、大切なことだと思っています