市川染五郎(19)が、「四月大歌舞伎」(4月3~25日、東京・歌舞伎座)で上演される新作歌舞伎「木挽町のあだ討ち」に主演することが9日、分かった。歌舞伎座での主演は、22年6月上演の「信康」以来。
直木賞と山本周五郎賞を受賞した永井紗耶子さんの時代小説が原作で、芝居小屋を舞台に、若者が遂げたあだ討の真相に迫る物語。父松本幸四郎も出演する。演出は齋藤雅文さん。
市川染五郎コメント 直木賞も受賞された永井紗耶子先生の「木挽町のあだ討ち」の歌舞伎化にたずさわることができ、大変うれしく思います。受賞されたニュースを聞いた当時から、タイトルに“木挽町”と入っていることもありきっと歌舞伎にぴったりだと思っていましたので、出演させていただく僕自身もワクワクしております。齋藤雅文先生はじめ皆さまのお力をお借りしながら、原作をすでにご存じの方にも納得していただける作品を目指してまいりますので、どうぞお楽しみに!
原作の永井紗耶子さんコメント 8歳の時、初めて歌舞伎を見て、こんなにもわくわくするものがあるのかと、感動したことを覚えています。以来、ことあるごとに歌舞伎座に足を運び、芝居に力をもらってきました。「木挽町のあだ討ち」は、私の歌舞伎好きを知った編集者からの提案で書き始めました。連載の途中、コロナ禍に入り、芝居が「不要不急」と言われるようになりました。私にとって、芝居はなくてはならないものです。その思いを込めて書いた小説が、こうして歌舞伎座の大舞台で上演されることは、小説家として望外の幸せです。しかも、かつてライターとして取材させていただいた松本幸四郎さんが、市川染五郎さんと親子でご出演いただけるなんて……。
脚本、演出の齋藤雅文さんコメント これは世間からはみ出した一癖も二癖もある芝居者たちの「バックステージもの」です。あだ討を通して困難に立ち向かう若者を、守り援(たす)ける人々の情愛と心意気の人間賛歌。これはそのまま、舞台に命をかける我々すべての演劇人の物語です。染五郎さんの青春の証しを歌舞伎座の舞台に、渾身(こんしん)の力で刻み込みたいと思っております!