7日に米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊を襲った山火事は発生から4日が経過した11日も延焼を続け、2028年夏季ロサンゼルスオリンピック(五輪)の会場や選手村のすぐ近くまで火の手が迫る事態となっている。
大谷翔平投手と山本由伸投手が所属するドジャースの球場も、8日にハリウッド地区で発生した新たな火災現場からは16キロほどしか離れていなかった。
西部の高級住宅地パシフィックパリセーズを襲い、壊滅的な被害をもたらした火災は11日、西に進路を変えて俳優ハリソン・フォードやベン・アフレックら多くのセレブが暮らす高級住宅地ブレントウッドまで急速に火の手が迫っている。
この地区には毎年2月にPGAツアー「ジェネシス・インビテーション」が行われ、28年ロス五輪のゴルフ競技会場となるリビエラ・カントリー・クラブもあり、火災現場からわずか8キロしか離れておらず、現在避難指示が出ている。また、ブレントウッドから高速道路を挟んで東側には、選手村となるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のキャンパスもある。
現地では今後14日にかけて暴風が予想され、新たな火災を引き起こす可能性も指摘されており、米ニューヨーク・ポスト紙は他の五輪会場も今後危険にさらされるかもしれないと報じている。ロサンゼルス国際空港に隣接するイングルウッドにあるNFLラムズとチャージャーズの本拠地で、開閉会式と競泳が開催される予定のSofiスタジアムや45キロ離れたラグビーとサイクリングが開催される南部カーソン市のスタジアムなども火災の影響を受けるかもしれないと指摘した。
スポーツの歴史や文化、五輪の専門家であるペンシルベニア州立大学のマーク・ダイアソン教授は同紙に、28年7月に開催されるロス五輪は他の都市または国に開催地が変更になる可能性があるとコメント。「2024年五輪の会場となったフランス・パリは施設がそのまま使えるので、パリに戻ることもできる。残念ながら組織委員会は不測の事態に備えるはずだ」と語っている。
本来なら雨期である冬に雨が降らず、極度に乾燥したロサンゼルスは、地球温暖化がもたらす影響を最も受けやすく、今後も同様の山火事が繰り返される可能性が高いと専門家は警告している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)