シンガー・ソングライター平松愛理(60)が17日、神戸煉瓦(れんが)倉庫K-waveで復興支援ライブ「平松愛理プロデュース1.17KOBE MEETING~あれから30年~」を開催した。
95年から自分にできることを続け、97年からは「音楽を介してメッセージを発信できる場所を」との思いで同ライブを開催。収益金を寄付してきたが、20年にひと区切りをつけていた。
5年ぶりの開催には神戸の復興から、東北、能登半島への思いも重ねた。ファンからは「おかえり」の声が飛んだ。大ヒットソング「部屋とYシャツと私」や復興支援ソング「美し(うまし)都~~がんばろやWe Love KOBE~」など13曲を熱唱。黙とう時間も設けられ、失われた6434人の尊い命に追悼の祈りをささげた。収益金は子どもたちへの支援のため、神戸レインボーハウスを通じて寄付される。
神戸市出身の平松は震災で実家が全壊。友人や知人を数多く失ったが、自身は全国ツアーの合間に東京でインフルエンザでダウンしており、震災を体験することはなかった。
それだけに「私は被災していないから分からない。実際どんなだったのか、被災された方がどう感じて、考えて、どう行動されたのか。そして、こうやって立ち直ってこられたっていう話を、次世代や体験していない人に語っていただければ。今日はそれをお願いしたい。最大の備えになると思う。皆さんの人生の先のどこかの時間で私がお願いしたことを思い出していただけたらありがたい」
そう開催に込めた思いを明かし、「あの日失った尊いたくさんの命を無駄にしないためにも、残された大きな癒えない傷と私たちの命を握りしめながら生きていけたら」と語った。【阪口孝志】