放送メディア出身で、現在は週刊東洋経済副編集長を務める田島靖久氏は29日、テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」(月~金曜午前10時25分)に出演し、フジテレビで長年強い影響力を持っているとされる日枝久相談役(87)への株主の「信頼度」について、元衆院議員で実業家の杉村太蔵氏(45)の質問に答える形で語った。
杉村氏は、40年以上フジテレビの取締役を務める日枝氏について「フジテレビに限らず、日枝さんは創業者ではないですが、創業者以外にもかつて自社の黄金時代を築いた人が一定の年齢になっても、社内で一種神格化してしまう企業風土って、案外ほかの企業にもあるのかなと思う」と指摘。「だから、経営陣は若返りをした方がいいという株主から提案があっても、実際にダルトン・インベストメンツが昨年、再任への反対票を投じるようにほかの株主に呼びかけても、結果的には、ほかの株主から信任されたことで、日枝氏は今もここ(取締役)にいる」と私見を述べた。
その上で「私が注目しているのは、日枝さんがフジ・メディア・ホールディングスの中で絶大な影響を持ったのは分かるが、ただ、株主に対しても影響があるのかということ。自分に反対票を投じろというような書簡があるのに、みんな日枝さんに取締役にいてほしいということ。ここにどういった力学が働いているのか」と指摘した。
これに対し、田島氏は「たしか去年の株主総会での信任率は日枝さんは、8割を超えています」とコメント。「はちわりぃ?」と驚く杉村氏に、「今まで投票する株主や機関投資家は、そのままある意味、イエス(信任)という態度をとり続けてきたが、最近そのルールが厳格化してきて、きちんと反対票を投じないといけないことになり、大きい企業やカリスマがいらっしゃる会社でも、賛成率は50%くらいまで低下している企業もある」と指摘。「メディアはそういうことが気付かれにくかったんだと思います」と、日枝氏に対する株主の高い信任率の背景を分析した。
田島氏は一方で「もうひとつ、外国人投資家の比率が2割に限定されているという、放送をめぐる法規制がある。海外の投資家も議決権は20%までしかなかったですから、そういうルールに基づいているところも大きかったのかなと思う」と述べた。
加えて「逆に言うと、フジテレビもそこにあぐらをかいていたのではないかという気はしている」とも、指摘した。