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【ひふみんEYE】藤井聡太棋王「一日の長」経験の差を発揮、増田康宏八段の問題の一手は「歩」

日刊スポーツ 2025年2月2日 21時42分

<ひふみんEYE>

将棋の藤井聡太棋王(竜王・名人・王位・王座・王将・棋聖=22)に増田康宏八段(27)が挑戦する第50期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第1局が2日、高知市「文化プラザかるぽーと」で行われ、先手の藤井が127手で増田を下し、3連覇へ向け好発進した。

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山あり谷ありの難しい将棋でした。お互いが最強の攻めに、最強の応手で守ってしのいでいました。最後は、藤井棋王に「一日の長」があったと思います。

3筋の歩を突いた仕掛けは一見、「指し切り(攻めが途中で切れてしまうこと)」の危険もありましたが、本人は息切れしないと思っていたはず。研究が行き届いている気がします。

攻めては増田陣で浮いてきた飛車を攻撃目標に定めて、容赦なく攻めかかっています。攻めの糸口をつかんで6筋の歩を成り捨てた後は、同じ6筋の自陣に歩を打って守備を固めています。「手数がかかっても勝てばいいんでしょ」という方針は、メリハリをつけた「藤井流」。タイトル戦で勝ち負けしてきた経験の差が発揮されました。

タイトル戦初登場の増田八段の問題の一手は、8筋の敵陣に打ち込んだ「歩」。これで歩切れとなり、相手からの飛車の打ち込みに対し、底歩が打てなくなりました。しかも、飛車を藤井棋王に渡さないよう指さなければなりません。桂得は大きなポイントでしたが、この歩打ちがなければもっと指せていたと思います。

ただ、大舞台の初戦にしては善戦しています。先手番の第2局でどんな作戦を用意しているのか、楽しみです。(加藤一二三・九段)

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