石破茂首相は3日の衆院予算委員会で、国民民主党が求める「年収103万円の壁」の178万円への引き上げをめぐり、同党が引き上げの理由にしている「大幅な税収増」分の国民への還元に、否定的な認識を示した。
「国民のみなさまに(税収増分を)お返しできるような状況かといえば、全然そうではない」と述べた。 国民民主党の浅野哲衆院議員の質問に答えた。
石破首相は「国民のみなさまに還元したいと、我々も思っている」とした上で「法人税収は企業の業績が絶好調でございますので、伸びる。じゃあ、所得税はどうなのかというと、高額所得者の方の所得税は確かに増えているが、税金を納められない方もたくさんおられる。消費税は、物価の上昇とだいたい平行するので、あまり伸びていない。そうすると、我々として国民のみなさま方にお返しするような財政状況かと言えば、全然そうではない」と釈明した。
「税収増は今申し上げたような背景によって行われたが、その分、国民のみなさま方にお返しできるほどの税収増があるのか。それよりは国の財政状況、不測の事態に備えて、さらに安定させていくことも必要なのではないかと考えている」と、理由を口にした。
「できるものならお返ししたいが、今の状況はなかなかそれを許すような状態ではない」とも述べ、理解を求めた。
浅野氏は「高額所得者の方は納められているが、生活が苦しい方、低所得者の方はなかなか納められない。であるならば、政府の役割は再分配だ。そういった考えも取り入れながら、年収の壁の議論をこれからも行わせていただきたい」と、首相に注文をつけた。