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北野武監督、配信作品は映画と編集で「これだけ違うものに」実験作配信後の“未来の映画”も語る

日刊スポーツ 2025年2月5日 18時48分

北野武監督(78)が5日、都内で米Amazonの映画、ドラマ製作部門Amazon MGMスタジオとタッグを組み監督・脚本・主演を務めた最新作「Broken Rage(ブロークンレイジ)」(14日配信スタート)配信記念記者会見に出席した。

「Broken Rage」は「暴力映画におけるお笑い」をテーマにした62分の中編。北野監督の構想を元に、前半は警察とヤクザの間で板ばさみなった殺し屋が生き残りをかけて奮闘する、裏社会を舞台に繰り広げられる骨太のクライムアクションを描いた。一方、後半は前半と同じ物語をなぞるコメディータッチのセルフパロディーとして描いた。主人公の殺し屋・ねずみを、同監督がビートたけしとして演じた。

北野監督は、冒頭で「劇場とテレビというのは、意識しなくても、これだけ違うものになってしまうんだと。完成した後、つくづく、エンターテインメントというものは見る方、作る方の環境が変わると、これほどまでに代わってしまうということが、分かるようになりました」と語った。質疑応答で、その点について聞かれると「撮影の時は感じなかったけど、フィルムをテレビ画面に映して編集したら、いつの間にか家で寝転がってテレビを見ている感覚で編集が始まってしまって、エラい短くなった。モバイルで見るのと劇場で見るのとは、同じテンションで撮っても、こんなに変わる、ここまで短くなるんだと」と全体の尺が想定外に短くなったと振り返った。

今回の新たな体験を経て、次にどこへ進むかと質問が出た。北野監督は「絵画だとキュービズム、フォービズム、印象派とか、いろいろな言葉がある。それに代わる映画(の歴史)は、100年ちょっとしかない。映画におけるキュービズム、フォービズムは、なかなか見つからない」と言及。「意識としては、映画におけるキュービズムとかフォービズムをやろうとしたんですが。とっかかりとしてとして、映画は進化していくべきだと思うので、絵画と同じように、シーンは全部、バラバラにして、抽選器みたいなのに入れて、出てきたシーンナンバーそのままつないでいっても、分かるような時代になっていくんだろうと思っています」と続けた。そして「かなり、今回の映画は実験的な映画だと思っています」と、さらなる挑戦への、1つのステップになり得た作品であることを示唆した。

会見には、ねずみを麻薬捜査の覆面捜査官として捜査協力させようとする井上刑事を演じた浅野忠信(51)福田刑事役の大森南朋(52)麻薬売買を取り仕切るヤクザの若頭・富田を演じた白竜(72)クスリの売人役の國本鍾建(58)も出席した。

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