「日本語曲を日本語で歌う日本人」として韓国の音楽番組でブレーク中の歌心りえ(51)が5日、東京・世田谷区の北沢タウンホールでライブを行った。
95年に3人組ユニット「Letit go」のボーカルとしてデビューし、脱退後はグループやソロで歌唱。今年30周年を迎え、51歳にして4月2日にソロメジャーデビューすることが決まった。カバーアルバム「SONGS」をビクター、同「HEARTS」をエイベックスから発売する。2つのレコード会社から同時デビューするのは史上初という。
公演前の取材で思いを語った。
今年は昭和100年で日韓国交正常化60周年の節目でもある。「この節目の年に、アルバムを作ることで日本のすばらしい歌を歌い継ぐことができる。昨年にお話があった時には、素直に『やらせてください』と言いました。『歌心りえ』としてメジャーデビューすることは想像していなかったのですごくうれしいです」。
レコード会社によると、2つの社から同時デビューするのは史上初だ。「会社の垣根を越えて2社でデビューするのは異例。私も韓国と日本の垣根を越えて歌っています。2社ですが、まさか同時にとは思わなかったのでびっくりしています。本当にありがたいです」。
51歳という遅咲きでソロメジャーデビューする思いも明かした。「私もまさかと思いました。21歳でデビューをして、(グループを変えるなどして)今回が5回目のメジャーデビューなんです」。
30年の間には歌をやめようと思ったこともある。特に19年と22年の2回、声帯を壊した時がそうだった。「人前で歌うのが怖かった。でもずっと見守ってくれていた主人が『いいかげん、歌ってみたらどう』と言ってくれたんです。それで、ちょっとずつ歌い始めた。主人は『ようやく動いたか』と言いました」。
今や、韓国では想像を絶する人気だ。「韓国は(歌番組に)出演している歌手のレベルがすごく高い。表現力がすばらしい。ブレスの取り方や歌と歌の間、歌詞がなくても歌っているというか…。吐息も聞こえる」と学ぶことが多いという。
日本国内での目標は君が代斉唱だという。「何でも良いからお声かけをいただきたい」。海外にも目を向けた。「韓国でもっと歌いたいし、他のアジア圏内でも歌いたい。10歳の娘にもその景色を見せられたら、彼女の成長のヒントになるかな」とこの時はママ目線だった。長女も歌が大好きで「ママみたいな歌手になりたい」と言っているという。
歌心がブレークしたのは昨年だった。オーディション番組「トロット・ガールズ・ジャパン」で準優勝し、韓国の「韓日歌王戦」などに出演。圧倒的なボーカル力で注目された。公式YouTbeでは「雪の華」のカバーが947万、「道化師のソネット」が807万回再生を記録し、今月22日には韓国で初のソロ公演を行う。
普段は東京・下北沢で家族経営をするライブハウス「空飛ぶこぶたや」で歌っている。この日は店の10周年記念ライブで多くのなじみ客が熱唱に耳を傾けた。