NHKは10日、3月31日開始の25年前期連続テレビ小説「あんぱん」の主題歌がRADWIMPSの「賜物」(たまもの)に決まったと発表した。
コメントを寄せたボーカルの野田洋次郎は「昨年春にオファーをいただいてから、手紙のように少しずつ届く脚本を読ませてもらいながら曲を育てていきました。読み進めるうちに、のぶ、嵩、登場するそれぞれの人物がいとしくなり、時にどうしようもなく苦しくなり。彼らのことが好きになればなるほどどんな曲がふさわしいのか迷子になったりもしました」と語り「『朝、出たくない布団から這い出す力が湧くような“効き目”があること』『のぶに負けぬみずみずしい生命力を持った曲であること』『挑戦と冒険をすること』を主眼に作りました。半年間、『あんぱん』と共に旅ができることをうれしく光栄に思います。よろしくお願いします!」と思いをつづった。
今作は「アンパンマン」の生みの親、漫画家やなせたかしさんと小松暢さん夫妻の半生がモデルとなる。戦前、戦中、戦後の時代を生き抜き、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」を生み出すまでの愛と勇気の物語を描く。応募者3365人の中からオーディションで選ばれた今田美桜(27)がヒロイン。やなせさんの妻にあたる朝田のぶ役を演じる。
今田もコメントを寄せ「RADWIMPSさんの奏でる音楽と一緒に、のぶの人生を歩んでいけること、本当にうれしいです!『あんぱん』の物語が主題歌を通して、より視聴者の皆さんの心にしみわたると思います」と語った。初めて曲を聴いた際の感想も明かし「私がイメージする“朝ドラ”の主題歌とは少し違った印象を抱きましたが、聴けば聴くほど『あんぱん』の世界観にぴったりだと感じました。『あんぱん』の登場人物は、それぞれ悩みを抱えながら生きています。でも、悩みがあるからこそ喜びもあることに気づきますよね。そんな喜びの感情やのぶの成長に、主題歌の歌詞やリズムが強く結びついている気がします。皆さんの毎朝を少しでも彩ることができたらうれしいです」とした。
制作統括のNHK倉崎憲チーフプロデューサー(CP)は「やなせ夫妻をモデルにした“朝ドラ”を描くにあたり、人生は決して喜びだけでなく誰にでもかなしいや愁いもあって、それを深く体現してくれるアーティストはRADWIMPSさんだとオファーさせていただきました。NHKの18祭の『正解』もそうですが、RADWIMPSさんの音楽には『生きるとは』を自身に問いかけられるような歌詞、曲が多く、『なんのために生まれて、なにをして生きるのか』をテーマの1つとしても描く『あんぱん』において、彼らと共にとことん挑戦・冒険してみたいという想いになりました。初めてお会いした時に、『今までの“朝ドラ”の主題歌のイメージに縛られず、自由に作ってください。生命力だったり生きる喜びが湧いてくるような曲を』とお伝えしました。一年近く対話を積み重ね、『賜物』にたどり着きました。曲のなかでいろんな表情があり、可能性が無限に広がっていくような、まるでのぶと嵩の波瀾(はらん)万丈の人生のようです。毎朝この『賜物』を皆さんにお届けできること、とても心躍ります」とつづった。
連続テレビ小説は1961年4月から始まり、「あんぱん」で112作目。直近では2023年後期は趣里がヒロインの「ブギウギ」、2024年前期は伊藤沙利がヒロインの「虎に翼」、同後期は橋本環奈(24)ヒロインの「おむすび」が放送されている。