東京都議会は10日に開いた臨時会の本会議で、都議会自民党で表面化した裏金事件を踏まえ、議長を務めてきた自民党の宇田川聡史氏(60)の辞職を許可した。宇田川氏は会派の調査で、政治資金パーティーの販売収入を中抜きし、138万円が政治資金収支報告書に不記載だったことが明らかになっていた。
前回2021年の都議選で第1党になった自民党が、これまで議長ポストを握ってきたが、本会議で行われた各議員による投票で、副議長の増子博樹議員(65)が、新たな議長に選ばれた。
増子氏は、小池百合子都知事が特別顧問を務める第2党、都民ファーストの会の所属。あいさつに立った増子氏は、自民党の裏金事件を念頭に「現在、都議会に対して、都民のみなさまから大変厳しい目が向けられている。都議会の指名と責任を自覚し、都民のみなさまの信頼を回復できるように尽力していきたい」と、抱負を述べた。
増子氏が務めてきた副議長ポストには、第3党の都議会公明党から谷村孝彦議員(62)が選ばれた。
都議会で第1党が議長ポストに選ばれず、第2党が議長、第3党が副議長を務めるのは、極めて異例。自民党は事実上、ポストを手放した形となった。
都議会自民党の裏金事件では、調査の中で、現職都議、都議経験者を含む計26人が代表を務める政党支部で収支報告書への不記載が確認され、このうち幹事長経験者が8人にのぼることが分かっている。都議会自民党は今年1月の会見で、政治団体としての「都議会自民党」の解散を発表するなど、今夏の都議選への影響は避けられない状況になっている。