将棋「第18回朝日杯オープン戦」準決勝、佐々木勇気八段(30)対近藤誠也八段(28)戦、井田明宏五段(28)対服部慎一郎七段(25、いずれも上が先手)戦が11日午前10時10分から東京・有楽町「朝日ホール」で始まった。
今回の4強の顔触れのうち、藤井聡太7冠(22)と対戦のない井田を除いて、残る3人はすべて藤井から勝ち星を挙げている。最も直近で「藤井に勝った男」が服部。初顔合わせとなった今年1月の朝日杯準々決勝で下して、進出した。
佐々木は別名「藤井を止めた男」。2017年(平29)に将棋界新記録となる29連勝を達成したデビュー1年目の藤井の30連勝を止め、プロ入り初黒星をつけている。また、初めてタイトル戦に登場した昨年10~12月の竜王戦7番勝負で藤井に挑戦した。第4局まで2勝2敗と互角に渡り合った。ここまで五分に持ち込めたのは、一昨年王将戦の羽生善治九段に次いで2人目になる。
近藤は、「藤井の出世を1年妨げた男」だ。17年度に最下級のC級2組で10連勝し、翌年度1クラス上のC級1組でも8連勝と昇級の大本命だった藤井を9回(19年2月)戦で撃破。この順位戦初黒星で藤井は昇級できず、C級1組突破に1年費やしている。この後、B級2組、B級1組、A級へとすべて1期で昇段し、名人初挑戦で獲得しているだけに、近藤の白星は大きい。
競馬で例えれば、8大タイトル(竜王・名人・叡王・王位・王座・棋王・王将・棋聖)戦がG1なら、朝日杯はG2。しかも、今回はかなりレベルの高い「スーパーG2」と言っていいだろう。
持ち時間は各40分の早指しで、1次予選からすべて一発勝負のトーナメント戦。準決勝の勝者は同日同所で午後から行われる決勝で激突する。優勝賞金は750万円。