将棋「第18回朝日杯オープン戦」準決勝、井田明宏五段(28)対服部慎一郎七段(25)戦が11日午前10時10分から東京・有楽町「朝日ホール」で行われた。対局は、矢倉から先手でグイグイ踏み込んだ井田がうまく攻め切り、本年度36勝4敗で勝率9割を誇る服部に快勝。初の決勝進出を決めた。
「練習仲間の服部七段は受け将棋ですけど、行くしかないと思っていました。安全勝ちが見込める相手ではないし、1回のミスで形勢がひっくり返ると考えていましたので、1歩もひかず戦おうと思いました」。攻めの姿勢を貫いて、勝利をもぎ取った。
敗れた服部は「うまく指されてしまった。普段から指し慣れている矢倉でしたが、形の認識の甘さがあって浮足立ってしまった。最後にもうひと勝負できたと思いますが、攻めに出てバランスを崩してしまった。自分の弱さが際立った将棋だったと思います」と悔しさをかみしめた。今回の敗戦で勝率が8割7分8厘(36勝5敗)に落ちたが、依然として1967年(昭42)度に中原誠五段(当時)が記録した8割5分5厘(47勝8敗)の年間最高勝率は上回っている。「まずは将棋を立て直さないと。記録は意識せず、1局1局いい将棋を指せればと思います」と気を取り直していた。