「One」では月に一度、防災について考えるコーナーをお送りしています。今回のテーマは、地震などの際の火災を防ぐ「感震ブレーカー」です。
■ 感震ブレーカー 普及はまだまだ
「感震ブレーカー」は、地震の揺れを感知して、ブレーカーやコンセントなどの電気を自動で止める器具です。家にいない時や、ブレーカーを落として避難する余裕がない時に、電気火災を防止する有効な手段とされています。
普及率は高くありません。鳥取県が行ったアンケート調査では、2019年 17%・2023年 16%。鳥取県では、これを2027年に50%にすることを目標にして、普及協議会も設置しました。これまでも普及に関する取り組みは行われてきたのですが、2024年になって加速したのには理由があります。
■ 能登半島地震の教訓を
2024年1月に発生した、能登半島地震。輪島市では大規模な火災が発生し、約240棟、4万9000平方メートルに被害が及びました。鎮圧されたのは、出火から14時間後。
消防庁によると、地震の影響により、電気に起因した火災が発生した可能性が考えられるということです。これを受け、国は地震火災対策の推進として感震ブレーカーなどの普及を促進する方針です。
このほか、阪神淡路大震災や東日本大震災でも、電気を原因とした火災が多かったことがわかっています。
■ 種類も値段もさまざま
「感震ブレーカー」がなかなか普及しない理由の一つに、費用の高さがあると考えられます。
工事が必要な分電盤タイプだと、工事費込で3~10万円。
コンセントタイプは工事が必要な場合もあり、5000円~2万円。
工事が不要な簡易タイプだと、3000~4000円程度。
それぞれの家の環境・状況によって、適切なタイプが変わってきます。
■ 補助金制度がスタート
鳥取県では市町村と共に、感震ブレーカー設置の補助金を出す制度を整備しました。
現在、補助制度があるのは米子市、岩美町、伯耆町、北栄町、日吉津村。鳥取市でも、補助金事業の予算が可決されたため、まもなく始まる予定です。
鳥取県によると、2024年度中には半分の自治体で、2025年度にはほとんどの自治体で、補助制度が始まる見通しだということです。条件・金額は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの地域の情報を確認するようにしてください。
なお、島根県では、現段階で県としての補助事業はありませんが、自治体や消防本部では設置を呼びかけているところもあります。全国的に見ると無償で配布している自治体もあり、今後ますます広がっていくかもしれません。
この記事の動画はこちらから再生できます