島根県教育委員会は12月13日、県立高校に入学した高校生が重大ないじめにあっていたと公表しました。
いじめを受けていたのは、2022年に島根県内の県立高校に入学した生徒です。島根県教育委員会によりますと、生徒は入学後の5月中旬、上級生に無断で下校中の様子を動画で撮影され、部活の後輩に拡散するなどの嫌がらせをされたということです。
その後生徒は校内で実施されたいじめのアンケートに「上級生から陰口を言われる、避けられる、悪口を言われる、冷たい視線で見られる、変な噂を広められている」といった内容を無記名で答えていたといいます。
また2022年11月中旬には教員に対して「毎日陰口を言われている、嫌な思いをする出来事が色々とある」と訴えていましたが、その後も同じ学校の2人の生徒から直接「なんで学校に来てるの。早く辞めろや」などと言わていました。
生徒は2023年1月には不眠の症状や転校の意向を養護教諭に訴え、2月には医療機関からは「専門医療機関での治療を要する状態」と診断されました。
そして2023年3月1日付で、生徒の代理弁護士から高校に対し、診断書と重大ないじめが生じている旨の申し入れがされました。高校はいじめの重大事態と判断し、2023年4月28日に島根県教育委員会に報告しました。
6人の調査委員が2023年6月から2024年3月まで調査した結果、「初期対応や情報共有など高校側が組織的な対応につなげられなかったこと」「生徒がいじめを訴えた段階で、生徒理解に基づいた支援が行われていなかったこと」などがいじめが重大化した要因だとしました。
生徒はその後、転校することになり島根県教育委員会は「志を持って入学した高校を卒業できなくなるという、取り返しのつかない事態を招いた当事案の重さを真摯に受け止め、すべての教育活動が人権教育を基盤に据えたものとなるよう点検と改革を進めていく」としています。