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「一生許さない」…執念がすごすぎる「根に持つ人」の心理って? 心理カウンセラーに聞いてみた結果

オトナンサー 2024年8月13日 9時10分

 失礼なことを言われたり、不快に思うことをされたりして「腹が立った」「傷ついた」という経験は誰しもあることでしょう。中には、謝罪などを経て解決した後も、相手からされた、言われたことをいつまでも覚えている人もいます。このような、いわゆる「根に持つ」タイプの人について、ネット上では「いるいる」「私のことです」「すごい執念を感じる」「妻がこのタイプで、『一生許さない』って言われます」「とっくに忘れているような昔のことを覚えててびっくりしたことがある」など、身近にいるという人も少なくないようです。

 あなたの身近にもきっといる「根に持つ人」…その心理とは、どのようなものなのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

■「今」の生きづらさ、苦しさにつながっているか否か

Q.昔のいざこざや、言われて不快だった発言などをいつまでも覚えている、いわゆる「根に持つ人」がいますが、これはどういう心理からくる行動・態度だと思われますか。

小日向さん「脳の『ワーキングメモリー』(作業記憶)という言葉が最近よく聞かれるようになりましたが、これは簡単に説明すると、脳に入ってきた情報を保持し、それを『覚えておく情報』と『削除する情報』に整理して判断し、物事を進めていく能力のことをいいます。

人が快適に生きていくためには、自分が前向きになれる情報を保持し、ネガティブな気持ちになる情報は早めに削除していけばよい――。これはほとんどの人が理解できる概念だと思います。しかし、器質的にワーキングメモリーが低いために、情報の取捨選択や整理が苦手な場合、そこへ加えて悲観的な性質や繊細な気質、また後天的な要素として幼少期の傷つき体験などさまざまな要素が絡み合うと、不快だった体験に固執して『根に持つ』というパーソナリティーが形成されると思います」

Q.「根に持つ人」とそうでない人の違いは何だと思われますか。

小日向さん「大きな違いとしては、2つの要因があると考えています。一つは、過去の根に持つような体験が、自分の『今』の生きづらさや苦しさにつながっているか否か、という点です。例えば、幼少期にある人物からいじめを受けて、『絶対に許さない!』と悔し涙を流した体験をバネにして成長し、今の自分が満たされた生活をしている人は、たまに思い出して苦い気持ちになることはあれど、『根に持つ』とか『復讐する』とまでは思わないでしょう。

そしてもう一つは、根に持つことによって何らかのメリットが自分にある、という場合です。『親がこんな育て方をしたから、自分は経済的に困窮する生活になってしまったのだ』と親の育て方を根に持ち、それを発信することによって、それを聞いた親から経済的支援を得られる、などのケースがこれに当てはまります。

ただし、後者の場合は本人が『自分にメリットがあるから根に持ち続けるのだ』と意識的に行っていることは少なく、本人の意識としては生きづらさを感じている人がほとんどです」

■「根に持つ人」とどう接すればいい?

Q.「根に持つ人」と接するときの、上手なコミュニケーションの取り方とは。

小日向さん「自分の人生に長く深く関わる人でなければ、『軽く受け流す』ことが一番です。コミュニケーションは言葉のキャッチボールで成立することは確かですが、根に持つ人の愚痴はこの限りではありません。彼らはただ吐き出したいので、アドバイスをするといった行動は関係性を悪化させることもあります。

ただ、継続的に関わりたい人で、かつ互いの信頼関係が構築されている場合は、本人の感情をうまく軌道修正するよう働きかけてもよいと思います。過去の上司の言動をずっと根に持っている人であれば、『それがあったから転職に踏み切ったんだよね。その行動力はすごいと思うよ』など、その人の“現状”に意識を向けさせて、つらい経験に耐えたことや、思い切って行動した勇気への賞賛に変換し、前向きな思考に変換しやすくしてあげます。

ただ、根に持つ、つまり物事に過剰に固執するパーソナリティーは器質的な要因が強い可能性もあるので、自分が相手を変えることに向き合い過ぎて疲弊する前に、専門家につながってみるようアドバイスをしてあげることも選択肢として考えてください」

Q.根に持つタイプの人が、その性質を改善したいと思ったとき、実際に改善する(=根に持たないようにする)ことは可能でしょうか。

小日向さん「先述したように、今が満たされていなければ、過去の嫌な記憶や体験にその要因を求めてしまいがちです。根に持つ性格を修正したいと思うのであれば、刹那的に一日一日を一生懸命よりよく生きることに熱量を注いでください。『今日をやり切った』という充実感は、過去への捕らわれから解放される手段です。

また、『もしかしたら器質的な問題があるのではないか』と思う場合は、専門機関に診てもらうことも検討してください。まずは自分自身を知り、できる範囲で思考に修正をかけていくことも現実的な対処方法となります」

オトナンサー編集部

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