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刺し身の「つま」ダイコンの千切り、食べるor残す? 管理栄養士が「一緒に食べてみてほしい」と勧める“明確な理由”

オトナンサー 2024年8月25日 8時10分

 刺し身には多くの場合、横に必ずといっていいほど「つま」としてダイコンの千切りが添えられています。この「つま」、あなたは食べていますか。それとも、食べずに残していますか。ネット上では「食べます」「おいしい」「口の中がさっぱりしていい」という“食べる派”と、「残してます」「食べたことない」「ベチャッとしてたら食べないかな」という“残す派”に分かれるようです。

「つま」として刺し身に添えられるダイコンの千切り、実際はどうするのがいいのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。

■「イソチオシアネート」で傷みを防ぐ

Q.そもそも、「ダイコン」とはどんな野菜ですか。

岸さん「ダイコンはアブラナ科の野菜で、春の七草で『すずしろ』と呼ばれ、日本人には古くからなじみ深い野菜です。根の部分の上部は甘みが強く、下へ行くほど辛みが強くなる特徴があります。

ダイコンの葉の部分は緑黄色野菜、根の部分は淡色野菜に分類され、根の部分にはビタミンCやカリウム、食物繊維が多く含まれますが、その他に特徴的なのが消化酵素、イソチオシアネートが多く含まれることです。ダイコンに含まれる消化酵素には、消化を助けてくれる『ジアスターゼ』やタンパク質を分解する『プロテアーゼ』、脂肪を分解する『リパーゼ』が含まれています。

また、ダイコンの辛みの原因である『イソチオシアネート』には優れた抗菌作用の他、血栓予防作用、がんや動脈硬化の予防効果があります。ダイコンの下部の方が辛いのは、先端に行くほどイソチアネートが多く含まれるためです。これらの消化酵素やイソチアネートは加熱により分解されやすいので、生で食べることが望ましいでしょう」

Q.刺し身の「つま」として、ダイコンの千切りが添えられることが多いのはなぜですか。

岸さん「そもそも『つま』とは、刺し身に添えられるものの総称で、代表的なものにダイコンがあります。本来は『あしらい』といい、盛り付ける場所や切り方によって『つま』『けん』『薬味』の3種類に分けられます。

刺し身の下につまを敷くと、盛り付けに高さとボリュームが出るため、より美しい見栄えになります。また、食べると口の中をさっぱりとさせ、魚の脂っこさを中和してくれたり、香りや食感のアクセントが刺し身のおいしさを引き立ててくれたりします。刺し身は水分が多いため、時間がたつと水気が出て臭みも増してしまいますが、つまを添えると刺し身から出る水分を吸収してくれるため、鮮度を保つ効果もあります。

つまとしてダイコンを添えると、先述したイソチオシアネートの殺菌作用で刺し身の傷みを防ぐことができ、刺し身の生臭さを抑えることにもつながります。冷蔵技術が発達していなかった時代は、抗菌の目的でダイコンが添えられていたといいます。

さらに、ダイコンの消化酵素によって消化を助けたり、胃腸の負担を軽減したりする効果もあります」

Q.「つま」のダイコンについて、「食べる」人と「残す」という人に分かれるようですが、ずばり、どうするのがよいのでしょうか。

岸さん「つまを食べることはマナー上、違反では決してありません。つまは、見た目や口直しといった目的の他にも、抗菌による鮮度の保持をはじめ、風味、薬味など重要な役割を果たしているものです。

無理に食べる必要はありませんが、食べることでダイコン自体に含まれるビタミンやミネラルも摂取できます。単に『飾りだから』と何となく残している場合は、刺し身を安全に、そしてよりおいしく食べるためにも、つまも一緒に食べることにぜひチャレンジしてもらいたいです。

ただし、刺し身の下に敷かれたつまが、刺し身から出る赤い液体『ドリップ』を吸って変色しているときなどは、無理に食べなくてもよいですし、その状態で時間がたってしまっている場合は、食べることを避けた方がよいでしょう」

オトナンサー編集部

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