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暑いのに“おなか”ヒンヤリ 放置したら“糖尿病”に? 原因&改善策を医師解説

オトナンサー 2024年9月6日 7時10分

 暑い日に背中が汗だくになることがありますが、その際、おなかの部分だけがひんやりしていることはありませんか。SNS上では「汗をかいているのに、おなかだけとんでもなく冷たい」「体は熱いのにおなかだけ冷たいのはなぜ?」という内容の声が上がっています。

 暑い日でも腹部が冷えていることがあるのは、なぜなのでしょうか。何らかの病気の可能性はあるのでしょうか。筑波胃腸病院(茨城県つくば市)理事長で消化器外科専門医の鈴木隆二さんに聞きました。

■運動、入浴で血流を改善

Q.暑い日は背中から汗がたくさん出る一方、腹部からはあまり汗が出ず、ひんやりしていることがありますが、なぜなのでしょうか。新陳代謝が低下しているのでしょうか。

鈴木さん「背中と腹部とで汗の出方が異なるのは、新陳代謝の低下だけでは説明できない場合があります。汗の出方は、体の部位ごとの汗腺の密度や分布が影響します。背中には多くの汗腺があり、温度調節のために汗をかきやすい一方、腹部は汗腺が比較的少ないため、汗をかきにくいことがあります。また、腹部のひんやり感は、皮下脂肪の量や血流の違いも関係している可能性があります」

Q.暑い日でも腹部がひんやりしている場合、何らかの病気の可能性はありますか。

鈴木さん「腹部がひんやりしていること自体が、必ずしも病気の可能性を示すわけではありませんが、血流障害や自律神経のバランスが乱れている場合、冷感が感じられることがあります。例えば、低血圧や甲状腺機能低下症、糖尿病などの持病がある場合、循環が悪くなり、体温調節がうまくいかないことがあります。しかし、腹部の冷えだけで即座に病気を疑う必要はなく、他の症状と併せて考えることが重要です」

Q.腹部の冷えを放置した場合、どのようなデメリットが生じる可能性がありますか。

鈴木さん「腹部の冷えを放置すると消化器系の機能が低下し、消化不良や便秘などの症状が現れることがあります。また、腹部の血流が悪いと、全身の血行にも悪影響を及ぼし、免疫力の低下や疲労感の増加につながることがあります。

さらに、冷えが長期間続くと代謝が低下し、体重増加のほか、糖尿病や脂質異常症(高コレステロール)、甲状腺の病気など、代謝性疾患のリスクが高まる可能性もあります。

代謝性疾患は、体が『エネルギーの使い方』や『栄養の取り込み方』を正しく管理できない状態です。この結果として、血糖値が高くなったり、コレステロールが増えたり、ホルモンのバランスが崩れたりします。これらの問題が長期間続くと、心臓病や腎臓病など、さらに深刻な健康問題を引き起こす可能性があります」

Q.腹部を温めて汗が流れるようにするには、どうすればよいのでしょうか。

鈴木さん「腹部を温めるためには、血行を促進するような生活習慣が役立ちます。例えば、適度な運動やストレッチを行い、腹部の血流を良くすることが有効です。

また、温かい飲み物を摂取したり、入浴時に腹部を温めたりすることも効果的です。食事の面では、ショウガや唐辛子など、体を温める食材を積極的に取り入れると良いでしょう。生活習慣の改善は、腹部の冷えを和らげるだけでなく、全身の健康にも寄与します」

Q.腹部がひんやりする症状について、男女差はあるのでしょうか。

鈴木さん「腹部の冷えには男女差がある場合があります。一般的に女性は男性よりも皮下脂肪が多いため、体温が保持されにくく、冷えを感じやすい傾向にあります。また、ホルモンバランスの影響で、女性は月経周期や更年期などの際に冷えを感じやすいです。

一方、男性でも血行が悪い場合やストレスが多い場合は冷えを感じることがあります。従って、性別よりも個々の体質や生活習慣による影響が大きいと言えます」

オトナンサー編集部

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