健康診断や人間ドックで実施される「血液検査」。血液を調べることで、さまざまな病気のリスクを発見することにつながるため、年1回は必ず受けているという人も多いことでしょう。
ところで、血液検査にあたって行われる「採血」で、何本もの採血管に血液を採っているのを見て「どうしてこんなに何本も採血するの?」「少ない血液でも調べられるのでは?」と疑問を感じたことはありませんか? 中には「5本以上、血を採られた」経験のある人もいるようですが、どうして何本も採血をするのでしょうか。eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに、採血の疑問をぶつけてみました。
■“大量の血液”が必要なわけではなく…
Q.そもそも「血液検査」とはどんな検査ですか。
市原さん「血液検査では、肝臓や腎臓といった臓器の異常を調べたり、血糖値やコレステロール、中性脂肪、尿酸などの数値を調べたりと、さまざまなことが分かります。健康診断で特に異常を指摘されず健康な人は、年に1回の健康診断での血液検査で十分です。
何か症状があるなど不調のときには、病院で血液検査を行い、不調の原因を調べます。例えば、糖尿病などで定期的に病院に受診している人は、1~2カ月に1回は血液検査をすることが多いです。かかっている病気によって血液検査の頻度は変わります」
Q.採血時、血液を何本もの採血管に採っているのを見かけることがありますが、これはなぜですか。
市原さん「何本もの採血管に血液を採っているのは、実は“大量の血液”が必要なわけではなく、調べたい項目によって必要な採血管が異なるためです。採血菅の種類は10種類以上あるので、医師が必要と判断したのであれば、例えば5本以上など、多くの本数分を採ることはあり得ます。一般的には2〜3本です」
Q.ちなみに、採血時に「手をグーにしてください」と指示されるのはなぜですか。
市原さん「手をグーにすることで、血管が見やすくなるからです。なお、採血をする腕は左右どちらでも構いませんが、血管がよく見える腕の方が好ましいです」
オトナンサー編集部