ドン・キホーテ(東京都目黒区)の「みんなの75点より、誰かの120点」を目指し、とことん振り切ったおいしさを追求した弁当・総菜ブランド「偏愛めし」が、昨年11月1日の発売開始から1年がたちました。味のみならず、「あんだく溺れ天津飯」「フライドチキンの皮だけ弁当」「具なし焼きそば丼」など、ユニークなネーミングも印象的で、インターネットやSNSなどで注目浴びている同ブランドについて、MD開発本部・偏愛めしプロジェクト責任者の服部司さんと、PBデザイン部ブランド開発課・偏愛めしブランドリーダーの山口直輝さんに、新商品の開発やネーミングに対するこだわりなどについて聞きました。
■企画立案「227」に対し、55商品のみ発売
Q.改めて、どういった経緯で「偏愛めし」を開発、発売するようになったのか、経緯を教えてください。
服部さん「元々、ドン・キホーテでデリカを取り扱っている認知度が低く、改善策を長年にわたり試行錯誤してきました。そこで安い割にはおいしいという戦略で商品開発やプロモーションを行いましたが、顧客に伝わりませんでした。
『情熱価格』のリニューアルで顧客とのコミュニケーション戦略を見直し、成功したことを受けて、2023年に抜本的な戦略の見直しを行い、『みんなの75点より、誰かの120 点。』 という万人受けは狙わないドン・キホーテらしいコンセプトで偏愛めしが生まれました」
Q.発売後のユーザーからの反響は予想されていたのでしょうか。
服部さん「“みんなの75点”は目指さないというメッセージが強烈かつドン・キホーテらしさがあるので、一定の反響があるとは考えていましたが、想像以上の反響になっていると感じます。
お客様の声で最も気付かされたのは、やはり食の好みは人それぞれであること。例えば、わさびを強めに効かせた商品はちょうどいいとの絶賛の声もあれば、強さが足りないという声もあります。各商品の特徴に対して、必ず真逆の意見があることに驚かされ、印象に残っています。“誰かの120点”というコンセプトにしたからこその、お客様からの声であると考えてます」
Q.毎回、新商品を発売するにあたり、こだわっている点や苦労しているポイントをそれぞれ、教えてください。
服部さん「こだわっているポイントは“誰かの120点”になるべく、それぞれの商品のコンセプトに応じた偏った愛が感じられるかどうかです。一方、開発者としては万人ウケするものづくりに陥りがちになり、どんどん普通の商品になってしまうので、そこは苦労している点です。また、ただとがっているだけでも駄目で、『ああ分かる』という共感も一定層必要でそのあんばいにも苦労しています」
Q.惜しくも市場に出せなかった商品はあるのでしょうか。
服部さん「発売できなかった商品はたくさんあります。アイデア会議などで出た商品企画は227に対し、発売したのは55であり、172の不採用があります。不採用になった理由は『商品化が難しかった』と『ただ珍しいだけ、こだわっているだけで誰かの120点になっていない』という理由が多いです」
Q.ユニークなネーミングの商品ばかり発売されていますが、名前を付ける際に苦労していることはありますか。
山口さん「.とがった商品性が伝われば成功するブランドと信じているので、『正確に伝える』表現の開発には毎回苦心しております。ブランド関係者は全員で試食、『てにをは』の1文字まで議論してコピーとネーミングを制作しております」
ドン・キホーテでは、「偏愛めし」シリーズが2024年11月1日に1周年を迎え、特に人気が高い8商品を価格は据え置きで食材の量や種類を増量し、より突き抜けた偏愛が楽しめる企画「偏愛マックスわっしょい祭り」を期間限定で実施中です。
同企画では、「あんだく溺れ天津飯」のしょうゆベースのダシとオイスターソースのうまみとコクにこだわったあんの量を通常の2倍にした「愛があふれて止まらない!あんだくだく溺れ天津飯」(430円、以下税込み)や、「ジュ―シィ焼鳥ゴロっと丼」の鶏肉のサイズを通常の2倍にして焼鳥の“ゴロっと感”をさらに追及した「ジュ―シィ焼鳥ゴロォォオオオ!っと丼」(538円)、「ガリガリ GARIC ペペロンチーノ」のニンニクの種類を4種から5種に増やした「背徳感こそ美味!カリホク GARIC×GARIC ペペロンチーノ」(538円)などがラインアップ。
服部さんは同企画について「偏愛が支持されて販売が好調な商品の偏った嗜好(しこう)をさらに突き抜けさせた商品ランナップになっています」と説明しつつ、「それぞれの商品を開発する際の商品への愛をPOPでも掲出するので、それも楽しんでいただきたいです。なぜそのような商品になったのかが分かるポエムみたいで面白いですよ」と語ってくれました。同企画は11月30日まで。お得に楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
オトナンサー編集部