食後に服用するよう指示が出ている薬を飲んだ直後、菓子を食べたくなったり、何か飲みたくなったりすることはありませんか。そのようなときに飲食物を摂取した場合、薬の効果に影響が出る可能性はあるのでしょうか。食後服用と指示されている薬を飲むときの注意点について、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。
■カフェインの摂取で薬の効果が強く出る場合も
Q.「食後服用」と指示されている薬を飲んだ後、すぐに飲食をした場合、薬の効果にどのような影響が出る可能性があるのでしょうか。
真部さん「薬を飲んだ直後にお菓子などの軽い飲食をしても、薬の効果に大きな影響を与えることは少ないです。しかし、薬の種類によっては、時間を空けることを推奨している場合があります。
例えば、薬の服用後、揚げ物のような高脂肪の食べ物などをすぐに摂取すると、薬の吸収が遅くなったり、吸収が過度になったりすることがあります。特に糖尿病の薬は食事の影響を受けやすいので、服用後の飲食には注意が必要です。
また、カフェインを含む飲み物を摂取すると、薬との相互作用が起こる可能性があるため、注意が必要です。例えば、薬の効果が強く出たり、弱まったりすることがあります。
食べ物や飲み物の種類によっては薬の効果に影響が出ることもあるため、薬を服用した後の飲食には注意した方が良いでしょう」
Q.では、食後に服用するよう指示された薬を飲んだ後、どの程度の時間、飲食を控えるのが望ましいのでしょうか。
真部さん「薬の種類や吸収のメカニズムによって異なりますが、食後服用の薬を飲んだ後、食事を控える時間の目安は、一般的には15~30分程度です。
薬の吸収に影響を与えないために時間を空けることをお勧めしていますが、あくまでも薬を飲んだ直後に大量の食べ物や飲み物を摂取する場合です。クッキー1枚やコップ1杯の水など、胃腸に優しい軽食であれば、薬の効果に大きな影響を与えることは少ないため、必要であれば摂取しても問題ありませんよ。
また、カフェインと相互作用のある薬を服用した後、コーヒーのようなカフェインを含む飲料を摂取する場合、最低でも30分以上空けるのが目安ですね」
Q.ちなみに、食前に服用するよう指示されている薬を食後に飲んだとします。この場合、体にどのような影響を与えるのでしょうか。
真部さん「食前に服用すべき薬を食後に飲むと、薬の効果が十分に発揮されない可能性があります。薬の吸収が遅くなったり、効果が低下したりすることもあるんですよ。
空腹時の吸収を前程とした薬の場合、食前に服用する薬は胃に食べ物がない状態で飲むことで、腸での吸収が最大になるように設計されています。そのため、食後では効果が十分に発揮されない可能性があります。胃酸を中和する制酸薬や一部の抗菌薬は薬の吸収が遅くなったり、効果が低下したりするかもしれません。
そのほかにも、食べ物や飲み物の成分と相互作用を起こす薬の場合、一部の薬は食べ物や飲み物の成分と結合しやすく、吸収が阻害されることがあります。例えば、カルシウムを含む食べ物や飲み物と一部の抗菌剤がそれに当たります。薬の吸収が低下して効果が弱まることがあり、結果として症状の改善に影響が出てしまいます」
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食後服用の薬を飲んだ後でも、クッキー1枚やコップ1杯の水など、軽食程度であれば摂取しても薬の効果に大きな影響をもたらすことは少ないということです。ただし、食べ物や飲み物の種類によっては薬の効果に影響が出る場合もあるため、薬を服用した直後の飲食には注意が必要です。
オトナンサー編集部