スーパーやコンビニエンスストアなどに行くと、カット済みの冷凍野菜や冷凍キノコが売られているのをよく見かけます。調理の際に活用している人は多いと思います。ところで、ネット上では、「野菜やキノコを冷凍加工する過程で栄養素が減少するのでは?」という内容の声が上がっていますが、市販の冷凍野菜や冷凍キノコで栄養をしっかりと摂取することは可能なのでしょうか。管理栄養士の桜井このさんに教えていただきました。
■キノコ類は冷凍すると栄養価が上がる
Q.そもそも、市販の冷凍野菜で栄養をしっかりと摂取できるのでしょうか。
桜井さん「市販の冷凍野菜は冷凍加工という処理が入るため、水を使った下処理の段階で水に溶けるビタミンが、ある程度流れ出てしまっていると思います。水に溶けるビタミンとして、ビタミンBやビタミンCがあります。また、カリウムなども水に溶けやすいですね。
一方、ビタミンAやビタミンEといった脂溶性ビタミンは油に溶ける性質を持っており、そういった栄養素は問題なく摂取できるかと思います。また、加工しているとはいえ、本来は生の野菜なので、旬の野菜であれば栄養価が高くなるものが多いです」
Q.では、市販の冷凍野菜を購入するときは、どのような野菜を選ぶのがお勧めなのでしょうか。
桜井さん「やはり、冷凍加工をするときに失われることがない、脂溶性ビタミンが多く含まれている野菜が良いですね。例えば、ホウレンソウや小松菜などの青菜類や、カボチャ、ニンジンなどが当てはまります。
また、キノコ類は冷凍保存をすると、むしろ栄養価が高くなるという特徴があるんですよ。なぜかというと、冷凍をすることでキノコの中に含まれる水分が膨張し、膨張をきっかけに細胞が破壊されたところから栄養素やうまみが溶け出すといわれているからです」
Q.市販の冷凍野菜を使って調理する際の注意点について、教えてください。
桜井さん「冷凍されているのでもちろん解凍が必要なのですが、その際にあまり長く加熱すると、水分があふれ出て触感が悪くなってしまうことがあります。そのため、火を通したり電子レンジで加熱したりする時間は、ほどほどにした方が良いですね。
もし自分で野菜を冷凍したいと思った場合は、短く切るなど短時間で冷凍、解凍できるようにすると栄養素が逃げにくくなります。さらに、急速冷凍が可能な冷蔵庫を所有している場合は、活用していただくとより良いと思います」
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キノコを冷凍すると、栄養価が高くなるというのは意外でした。また、ホウレンソウやニンジンなどの脂溶性ビタミンを含む野菜は冷凍加工しても栄養素があまり失われないということです。日々の生活で冷凍野菜や冷凍キノコを積極的に活用したいですね。
オトナンサー編集部