昼食や夕食の時間帯になると、飲食店の中には行列ができる店もあります。その際、2人以上のグループ客の中には、代表1人が列に並び、入店の順番が来るタイミングで全員を呼び寄せ、一緒に入店する光景を見掛けることがあります。こうした行為は「代表待ち」と呼ばれており、客同士でトラブルになることもあるようです。SNS上では「代表待ちは許してはいけない」「後ろの人から見たらただの割り込み」という内容の声が上がっています。
そもそも、飲食店における客の代表待ちは、マナー違反や迷惑行為に該当するのでしょうか。飲食店にどのような負担をかける可能性があるのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。
■店の回転率を下げる原因に
Q.そもそも、飲食店における客の代表待ちは、マナー違反や迷惑行為に該当するのでしょうか。
成田さん「飲食店における客の代表待ちは、店側が禁止していないのであれば、必ずしも問題行為とは言い切れません。しかし、他の客の視点から見ると『順番を守っていない』『並んで待っている人たちに対する配慮が欠けている』など、マナー違反と捉えられることがあり、客と客、または客と店側でトラブルに発展する可能性があります」
Q.では、飲食店における客の代表待ちは、店にどのような負担をかける可能性があるのでしょうか。
成田さん「店側にとっても、代表待ちがあると入店人数や待ち時間の予測が難しくなり、混乱を招く可能性があります。特に、予約制のない店舗では混雑状況をうまく管理できず回転率が低下したり、その対応に追われてスタッフの負担が増え、サービスの質が低下したりする可能性もあります」
Q.実際に飲食業界で客の代表待ちは問題となっているのでしょうか。
成田さん「実際に、飲食業界で客の代表待ちが問題となっている事例は多いです。私たちのような飲食店専門コンサルティング会社への相談について、代表待ちに関する相談も多く寄せられています。例えば、『順番が守られていないと店に苦情が入り、それに対応していると通常営業ができない』『スタッフの作業負担増やコスト増などの対応に苦慮している』などの相談が増えております」
Q.飲食店での代表待ちを防ぐために、店側ができる対策はあるのでしょうか。
成田さん「店内や店の入り口に『全員そろってから順番にお並びください』『代表待ち禁止』などの案内を掲示することが効果的でしょう。また、公式サイトやSNSでも同じ案内を記載することで代表待ちを防ぐ案内を周知できます。整理券や予約アプリなどの導入も効果的です。
順番が来た際にグループ全員がそろっていない場合は、即キャンセル扱いにするなどのルールを同時に設けることで、代表待ちによるトラブルや回転率の低下を防ぐこともできますよ」
オトナンサー編集部