「おかめ納豆」で有名なタカノフーズ(茨城県小美玉市)が9月、キリンホールディングス(以下、キリン)と共同開発した機能性表示食品「すごい納豆ゴールド プラズマ乳酸菌たれ付」(以下、すごい納豆ゴールド)を発売しました。
タカノフーズによると、この商品は納豆のたれの配合素材として、免疫ケアの機能を訴求できる「プラズマ乳酸菌」を採用したのが特徴で、納豆業界では初となる免疫機能付きの機能性表示食品だということです。そもそも、なぜ免疫機能付きの納豆を開発したのでしょうか。タカノフーズの担当者に聞きました。
■健康志向の高まりに着目
Q.「すごい納豆ゴールド」を開発した経緯について、教えてください。なぜ納豆のたれの配合素材としてプラズマ乳酸菌を採用したのでしょうか。
担当者「コロナ禍以降、健康志向が高まっており、こうしたニーズに応えた商品を販売したいと考えたからです。また、市場では『免疫対策』をうたった機能性表示食品の売り上げが大きく伸びていることが分かり、免疫機能付きの納豆商品を開発したいと考えるようになりました。
当社は、自社で保有する2200種以上の納豆菌の中から体調管理をサポートする菌である『S-903納豆菌』を見つけ出すことに成功し、この菌を使った『すごい納豆 S-903』を2017年2月から販売しています。この商品は累計で約4億5000万食を売り上げていますが、同商品を含め、従来品では機能性表示ができないなどの理由から、免疫機能の訴求について課題感を抱いていたのも事実です。
そこで、免疫ケアの機能を訴求できる『プラズマ乳酸菌』の開発に成功したキリンと提携し、同社と協業で商品開発を始めました。
その後、2年ほど試行錯誤を重ね、S-903納豆菌を使った納豆に、プラズマ乳酸菌を配合した『プラズマ乳酸菌入りたれ』を組み合わせることで、発酵食品である納豆カテゴリーとしては初の『免疫』を訴求した機能性表示食品を開発することができました。現在、北海道を除く東日本エリアの限定商品として販売しています」
Q.開発に2年ほどかかったということですが、どのような点に苦労したのでしょうか。また、納豆菌とプラズマ乳酸菌を組み合わせる際においしさを出すために、どのような工夫を施したのでしょうか。
担当者「開発に苦労した点として、次の2点が挙げられます」
(1)「機能性関与成分」の証明
キリンのプラズマ乳酸菌を使用することで、納豆商品に「免疫ケア」を表示できるというのが最大のメリットです。しかし、プラズマ乳酸菌に関する「機能性表示食品」を成立させるには、プラズマ乳酸菌が1000億個配合されていることを証明しなければなりません。
もともと納豆には多数の「菌」(納豆菌)が存在しており、プラズマ乳酸菌と合わさったときに、プラズマ乳酸菌が1000億個配合されていることを証明する方法を見いだすのが非常に困難でした。
(2)既存の納豆商品との差別化
既存の納豆商品との差別化のほか、商品のターゲット層の設定などにも苦労しました。そこで、「すごい納豆」の特長をうまく具現化することに決め、キリンと何度も議論を重ね、すごい納豆ブランドで、なおかつ、国産大豆を使用した納豆にするコンセプトに至りました。
なお、プラズマ乳酸菌は納豆の味、においに影響を及ぼさないため、納豆とたれの開発に専念することができました。何度も試作・試食を繰り返し、納得できる味やにおいに仕上げています。中でも、たれにはこだわっており、評価の高い既存のたれの味わいを継承し、かつお節、昆布、煮干しの3種のエキスを使用した、だしのうまみがある味わいに仕上げました。
Q.「すごい納豆ゴールド」の粒の大きさは、どの程度なのでしょうか。
担当者「当社の主力商品の一つである『すごい納豆 S-903』が極小粒という小さめの大豆を使用しているのに対し、すごい納豆ゴールドは、中粒以上の国産大豆を100%使用しています。これはふっくらとした大豆の弾力を保ちながら、芯まで柔らかい納豆です。
健康志向の高いお客さまから支持されている国産大豆を使用することで、より大きな満足感を得られることを期待しています」
Q.「すごい納豆ゴールド」の売れ行きはいかがでしょうか。
担当者「売り上げに関する具体的な数値はお答えできませんが、多くの取引先の企業に導入いただいております。今後もすごい納豆ゴールドのマーケティングを継続的に行い、お客さまの商品認知度の向上を図る予定です」
Q.「すごい納豆ゴールド」と一緒に組み合わせるとお勧めの食材、避けた方がよい食材があれば教えてください。
担当者「現時点で、すごい納豆ゴールドと組み合わせるのを避けていただきたい食材はありません。ネギなどの薬味を組み合わせたり、卵やアボカドを加えてまろやかな味にしたりするなど、他の納豆と同様、皆さまのお好きな食べ方で楽しんでいただけるとうれしいです。おかめ納豆のホームページでは、さまざまなレシピをご紹介しているため、ぜひご覧ください」
オトナンサー編集部