朝晩を中心に冷え込むようになり、コートやマフラーなどを着用するようになった人は多いと思います。首を温めると、体感温度が上がるといわれていますが、本当なのでしょうか。首を温めるメリットについて、なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック(京都市右京区)院長で整形外科医の樋口直彦さんに聞きました。
■首を温めると温かい血液が全身を巡るように
Q.そもそも、人間が体温を維持する際の仕組みについて、教えてください。
樋口さん「私たちの体は、外が寒いときは血管をキュッと縮めて熱を逃がさないようにする一方、暑いときは血管を広げて熱を外に逃がすという仕組みで体温を保っています。体が震えるのも、寒いときに熱をつくって体を温めるためなのです。このようにして、体はいつもなるべく同じ体温を保つように働いています」
Q.首を温めると、体感温度が上がるといわれていますが、本当なのでしょうか。
樋口さん「本当です。首には太い血管がたくさん通っているので、ここを温めると温かい血液が全身を巡り、体がポカポカしてきます。また、首元が温かいと、脳も『体は温かいぞ』と感じるようになるので、実際に体全体が温かく感じやすくなるのです」
Q.では、首を温めるために有効な方法について、教えてください。マフラーやネックウォーマー、タートルネックを着用するのが望ましいのでしょうか。
樋口さん「マフラーやネックウォーマー、タートルネックなどがお勧めです。これらを使うと首元をしっかり包んで熱を逃がさず、外でも体温を保ちやすくなります。
マフラーは巻き方を変えられるので、暖かさを調整できます。ネックウォーマーは頭からかぶるだけで簡単に首を温められて便利です。
タートルネックは着ているだけで首元をカバーでき、外出にもぴったり。ウールのような暖かくて肌触りの良い素材を選ぶとさらに快適です」
Q.マフラーやタートルネックなどを長時間着用すると、汗がたまることがあります。この場合、体が冷えたり、首がかゆくなったりする恐れはないのでしょうか。
樋口さん「確かに、長時間つけていると汗がたまって、かゆくなったり体が冷えたりすることがあります。その場合、次のような対策がお勧めです」
・汗を吸いやすく、乾きやすい素材の製品を使う。それにより、汗で体が冷えにくくなる。
・汗をかいたら小まめに拭く。また、マフラーやタートルネックなどを時々外し、首元に空気を通すだけでも快適さが向上する。
・替えのマフラーやネックウォーマーを用意し、汗をかいたら交換する。
首を温めることで、寒い日でも体がポカポカしやすくなるので、ぜひ試してみてください。
オトナンサー編集部