好んで飲んでいる人も多い「炭酸水」。しかし実は、猫にとっては注意しなければならない飲み物だということを知っていますか? 最近では、飼い猫が炭酸水をなめる様子を撮影したYouTube動画(現在は削除)に批判が集まりましたが、実際のところ、炭酸水は猫にとってどのくらい危険な飲み物といえるのでしょうか。ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんに聞きました。
■猫にとって「必要なものではない」
Q.猫に炭酸水を飲ませてはいけないのは事実ですか。
増田さん「事実といえます。炭酸水は液体に炭酸ガスが含まれたもので、飲むと発泡によってシュワシュワとした喉越しが感じられます。炭酸の含まれた飲み物を飲むと、胃内でガスが発生して『げっぷ』が出ることがありますが、これは猫が飲用しても発生します。ただし、人間のように胃内のガスを上手に出すことが難しいため、胃の異常な拡張を引き起こす可能性があるほか、これに伴う消化器の機能異常を招くことがあります。
体内の水分や酸アルカリのバランスが乱れると、命に関わる重大な問題に発展する恐れがあるため、そもそも猫に炭酸水自体を積極的に飲ませることは推奨されません」
Q.炭酸を含む飲料はさまざまありますが、猫にとって特に注意が必要といえる飲料はありますか。
増田さん「先述の通り、炭酸水はそのものが発生するガスによって猫に不調を来すことがありますが、炭酸飲料に含まれる成分によっても、他の危険性にさらされる場合があります。
例えば、エナジードリンクに代表されるカフェインは興奮や嘔吐(おうと)、不整脈を起こすことがあります。また、ハイボールやソーダ割りといったアルコール飲料にも炭酸水が用いられますが、アルコールは嘔吐や意識障害を生じることがあり、少量でも死に至ることがあります。
また、一般的に市販の炭酸飲料は糖分が多く含まれていることから、血糖値やそれを調節するホルモンの分泌バランスを乱す恐れがあります。そのため、『炭酸を含んだ飲み物=猫にとって必要なものではない』という認識を持っておくことが重要です」
Q.もし、猫が誤って炭酸水を飲んでしまった場合、どうすればいいですか。
増田さん「まず、動物病院で診察をしてもらうことを優先しましょう。先述の通り、微量であれば体への影響はそれほど大きくないことがありますが、炭酸そのものの影響のほか、含まれる他の成分が体に何らかの変化を与える可能性もあります。
炭酸飲料の成分によって体に現れる兆候が異なりますが、元気や食欲の消失、吐き気を催すなど、明らかに普段と異なる様子が見られるようなことがあれば早めに対処しましょう。その際、何をどれくらい飲用したかを伝えるようにしてください。
いずれにしても、本来猫にとって必要ではないものを与えることは、リスクが大幅に勝りますので、愛猫の健康を最大限優先して食べ物や飲み物を与えるように心がけたいものです」
オトナンサー編集部