医療機関から薬を処方されるとき、薬剤師から薬に関する説明を受けますが、その中には飲み合わせについての注意も含まれています。よく「薬とかんきつ類は一緒に摂取してはいけない」といわれることがありますが、本当なのでしょうか。
薬と一緒に摂取しない方がよい食べ物、飲み物のほか、薬の服用時に組み合わせてはいけない飲食物を摂取してしまった場合の対処法について、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。
■グレープフルーツの「フラノクマリン類」が薬に影響
Q.「薬とかんきつ類を組み合わせてはいけない」といわれることがありますが、本当なのでしょうか。もし組み合わせた場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。
真部さん「かんきつ類のすべてのものが影響するわけではありませんが、一部に関しては事実です。
グレープフルーツなどに多く含まれる『フラノクマリン類』という成分は、薬を代謝する肝臓の酵素の働きを弱めてしまうことが分かっています。そうすると、薬をうまく分解できないことで副作用が大きく出てしまったり、反対に効果も強く出すぎてしまったりといったリスクが発生します。
フラノクマリン類の影響を受けやすい薬の種類としては、血圧やコレステロールを下げる薬のほか、抗不安薬や睡眠導入剤などが挙げられます」
Q.グレープフルーツ以外に、薬と一緒に摂取しない方がよい食べ物や飲み物はあるのでしょうか。
真部さん「こちらもすべての薬に当てはまるわけではありませんが、一部の薬との組み合わせが良くないものがあるため、薬剤師からの説明をしっかりと聞いて、正しく服用することが大事です。
一例を挙げると、アルコールやカフェインが含まれるもの、カリウムが多いもの、乳製品、納豆といった発酵食品などが該当します。もし不安がある場合は、薬剤師に相談すると良いでしょう」
Q.もし組み合わせない方がよい食べ物や飲み物と一緒に薬を飲んでしまった場合、どのように対処すべきでしょうか。
真部さん「気付いた段階ですぐに摂取を中止し、リスクを拡大させないためにも追加で摂取しないようにしましょう。また、水を多めに飲んで消化を促し、相互作用のリスクを最小限に抑えることも重要です。
もしもいつもと何か違う症状が出たり、不安に思ったりしたときはすぐに医療機関を受診しましょう。場合によっては、血液検査やモニタリングなどを実施して様子を見ることになります」
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せっかく病院に行って薬を処方してもらったのに、飲み合わせが悪かったことが原因で、本来とは違う作用が出てしまったら困りますよね。組み合わせがよくないもの、リスクが起こりやすいものなどは薬の種類によっても異なるため、特に初めて服用する薬があったときは、事前に医師や薬剤師の服薬指導をしっかりと受けましょう。
オトナンサー編集部