猫を飼っている人が必ずやらなければならないのが、「猫の爪切り」です。しかし、猫の中には爪を切られるのが苦手で、激しく嫌がる猫もいるようです。SNS上では「猫が暴れる」「猫がたくみに手を引っ込めてうまく切れない」という内容の声が上がっています。飼っている猫の爪を上手に切るにはどうしたらよいのでしょうか。猫の爪を切るのを怠った場合、飼い主や猫自身にどのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。動物看護師のfujimaruさんに教えていただきました。
■爪を切る頻度は月に1回
Q.そもそも、猫の爪は月に何回程度、切るのが望ましいのでしょうか。猫の爪を切る際の注意点はありますか。
fujimaruさん「最低でも月に1回もしくは3週間に1回程度が理想ですね。それ以上間隔が空くと、爪が伸び過ぎて人間も猫もけがをする恐れがあります。
切る際の注意点は、猫の場合、爪が神経や血管と並走するような形で伸びているので、深爪をすると出血したり、痛過ぎて飛び跳ねたりすることがあることです。肉球を押して爪を出したときに、横から見ると赤い血管が走っているのが見えるので、それを避けて切ってあげるのが良いでしょう。ですが、見極めが難しいので、2週間に1回、爪の先だけ切ってあげるのも一つの方法です。
爪切りや抱っこが苦手な子もいるので、2週間ごとに先端だけを小まめに切ってあげるか、月に1回、動物病院でしっかり切ってもらうか、猫の傾向に合わせて決めてあげると良いでしょう」
Q.飼い主が猫の爪を切るのを怠った場合、飼い主や猫自身にどのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。
fujimaruさん「飼い主側のリスクとしては、遊んでいるときに爪が引っ掛かって傷になったり、ミミズ腫れになったり、出血したりすることが挙げられます。ソファや家を傷つける原因にもなります。また、病院で猫が暴れた際に、看護師や獣医師がけがをして治療が進まない可能性があります。
猫側のリスクは、爪が円を書くように伸びるので、伸び過ぎると爪が自分の肉球に刺さってしまうことが挙げられます。そうなると、病院で爪を切った後、手にギブスをつけなければならず、猫にとって負担となります」
Q.猫が爪を切られるのを嫌がる場合、飼い主はどのように対処したらよいのでしょうか。やるべき行為、やってはいけない行為はありますか。
fujimaruさん「猫が爪を切られるのを嫌がる場合、2人1組で爪切りを行うと良いでしょう。片方が抱っこをして、片方が爪を切ります。あぐらをかき、おなかを出すような形で猫を寝かせた後、おやつをあげて気を引きながら爪を切ってあげるとスムーズです。
どうしても自宅では切れない場合は、病院で切ってもらいましょう。病院に行くときは、網目の荒い洗濯ネットに入れて連れて行ってあげてください。網目の隙間から爪だけにょきっと出して切ることができます。
避けた方が良いのは人間用の爪切りで切ることです。猫の爪は薄いので、人間用の爪切りでも切れます。ですが、人間の爪切りは幅が広いため、肉球も切ってしまう恐れがあるのです。できる限り、猫用の小さい爪切りを使いましょう」
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猫の爪は、定期的に切ってあげるのが理想です。自宅で切る場合は、2人1組でおやつで気を引きながら行うことがお勧めだということです。また、どうしても自宅で切れない場合は、病院で切ってもらうことも念頭に置いて、定期的にケアしてあげましょう。
オトナンサー編集部