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忘年会帰りに大騒ぎで逮捕!? 「酔っ払い防止法」とは? 弁護士が徹底解説

オトナンサー 2024年12月13日 6時10分

 12月は忘年会シーズンです。会社の上司や同僚とお酒を飲む機会が増える人は多いと思いますが、飲み過ぎには注意が必要です。

 ところで、飲酒でハメを外し過ぎて、飲食店や公共の場などで大騒ぎすると、「酔っ払い防止法」で逮捕されてしまうかもしれません。この酔っ払い防止法とはどのような法律なのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士が解説します。

■法定刑は「拘留」「科料」

 「酔っ払い防止法」は、正式名称を「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」といいます。この法律の目的は、アルコールの影響により正常な行為ができない恐れのある状態にある者、いわゆる酩酊者(めいていしゃ)の行為を規制し、または救護を要する酩酊者を保護するなどの措置を講ずることによって、過度の飲酒が個人的および社会的に及ぼす害悪を防止することにあります(同法1条)。

 酔っ払い防止法がつくられたのは1961年です。姉妹が酒乱の父親を殺した事件をきっかけとし、酔っ払った男性の暴力から家族を守るために、女性議員が連帯して、この法律をつくりました。

 酔っ払い防止法は、酩酊者が、公共の場所または乗り物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野または乱暴な言動を禁じています。これに違反した場合、拘留(1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する刑)、または科料(1000円以上1万円未満の金銭を支払わせる刑)に処される可能性があります(同法4条1項)。

 なお、この罪を犯した者は、情状により刑を免除されることも、または拘留および科料を両方科されることもあり得ます(同法4条2項)。

 また、酩酊者が公共の場所または乗り物で、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野または乱暴な言動をするよう、そそのかしたり、手助けしたりした場合も、同様に処罰される可能性があります(同法4条3項)。

 警察官は、この罪を現に犯している者を発見したときは、その者の言動を制止しなければならず、制止を受けた者が、制止に従わないでこの罪を犯し、公衆に著しい迷惑をかけたときは1万円以下の罰金に処すことができます(同法5条)。これらの罪の容疑で逮捕される可能性もあります。

 基本的に罰則が科されるのは、「公共の場所または乗り物」に限られます。しかし酔っ払い防止法は、酩酊者がその者の住居内で、同居の親族等に暴行をしようとするなど、親族等の生命、身体または財産に危害を加えようとしている場合、警察官の住居内の立ち入りを認めています(同法6条)。

 ところで、「酔っ払い防止法違反で現行犯逮捕」というケースは、ニュースなどであまり聞かないと思うかもしれません。

 酔っ払い防止法の法定刑は、先述のように「拘留または科料」であり、警察官の制止に従わなかった場合の法定刑も「1万円以下の罰金」にとどまります。これは、刑事訴訟法上「軽微犯罪」(30万円以下の罰金、拘留または科料に当たる罪)に当たり、現行犯逮捕するためには、犯人の住居もしくは氏名が明らかでない場合、または犯人が逃亡する恐れがある場合に限られます(刑事訴訟法217条)。

 通常逮捕の場合も、定まった住居を有しない場合、または正当な理由がなく出頭の求めに応じない場合に限られます(刑事訴訟法199条1項ただし書き)。従って、酩酊者が素直に任意の取り調べに応じ、住所や氏名も明らかな場合は逮捕されることがなく、逮捕事例がほとんどありません。

 しかし、酔っ払って迷惑をかけると、暴行罪や傷害罪、公務執行妨害罪、器物損壊罪といった他の犯罪が成立し、そうした犯罪の嫌疑で逮捕されてしまうケースは少なくありません。飲酒は、体質や体調に合わせ適量を心掛け、楽しむようにしましょう。

オトナンサー編集部

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