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「便秘」の定義とは? 実は日数以外の要素も関係 専門医が語る“診断基準”

オトナンサー 2024年12月18日 6時10分

 便はほぼ毎日出るのが望ましいといわれていますが、便がなかなか出なくて困ったことはありませんか。そもそも、何日以上便が出ないと便秘に該当するのでしょうか。また、冬は便秘になりやすいと聞きますが、本当なのでしょうか。筑波胃腸病院(茨城県つくば市)理事長で消化器外科専門医の鈴木隆二さんに聞きました。

■便が硬い場合も便秘に該当

Q.そもそも、便秘とはどのような症状なのでしょうか。何日以上便が出なかったら便秘に該当するのでしょうか。

鈴木さん「医学的には、便秘は次の症状の『集合体』のことを言います」

・排便回数が減少(週2~3回以下)
・ウサギのふんのようなコロコロとした便が出るなど、便が硬い
・排便困難感や残便感がある
・膨満感など排便後に不快感がある

つまり、「排便回数が減少し、便が硬くなった」など、複数の症状が同時に起きることを指し、排便回数が減少しただけでは、便秘とは言い切れません。

何日以上出なければ便秘と見なすかは一律ではなく、普段の排便リズムとの比較が重要です。毎日排便している人が週に2~3日以上出なくなった場合は便秘と考えることもありますが、もともと排便回数が週に2~3回の人にとっては、それが正常範囲です。

Q.便秘の主な原因について、教えてください。

鈴木さん「便秘は、水分や食物繊維の不足、運動不足、ストレスといった生活習慣が原因で起きます。また、加齢や腸内環境の乱れによる腸の運動機能低下、鉄剤や抗うつ薬などの医薬品による影響、腸閉塞(へいそく)や大腸がん、過敏性腸症候群といった特定の疾患なども便秘が起きる原因となります。

このほか、便秘の場合、『毎日排便しなければならない』という強迫観念や固定概念が逆に症状を悪化させる場合があるため、注意が必要です。

また、こうした強迫観念や固定概念が原因で、便秘ではないのに『便秘』だと勘違いしてしまうことがあります」

Q.もし便秘を放置した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。

鈴木さん「便秘を放置すると、腹部膨満感や腹痛が起きやすくなります。また、便秘による長時間のいきみでいぼ痔(じ)が生じやすくなるほか、便が硬いと排便時に肛門を傷つけることが多く、切れ痔(裂肛)になりやすくなります。

このほか、排便時の強いいきみが血圧変動を引き起こし、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞などの血管系の疾患につながる可能性があるほか、便が詰まると腸閉塞を引き起こす恐れがあるので、注意が必要です」

Q.ちなみに、冬は便秘が生じやすい季節なのでしょうか。

鈴木さん「冬は便秘が生じやすいと言えます。その原因として『水分摂取量の不足』『運動不足』『体温低下』の3点が考えられます。

例えば、寒いと喉の渇きを感じにくくなり、水分摂取量が減る傾向にあります。また、冬は屋内で過ごす時間が増える分、運動をしなくなるため、腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下するほか、体温が低下すると腸の血流が減少し、活動が低下します。

冬の便秘対策としては、『温かい飲み物での水分補給』『室内でもできる軽い運動を行う』『腸内環境を整える発酵食品の摂取』が効果的です。

便秘は単なる不快感ではなく、適切な対処が健康全般に寄与します。ぜひ専門の医療機関を受診してください」

オトナンサー編集部

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